2019年8月の相続税コラム記事一覧
非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)⑫認定申請書の添付書類~その3~
投稿日:2019.08.27
こんにちは。
名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所の税理士の笘原です。
2018年4月1日から施行されている、大きく改正をされた非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)について、国税庁のパンフレットよりも一歩踏み込んだ解説や注意点、実務の落とし穴などについて解説をしていきたいと思います。
前回に引き続き、「特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」の添付書類について解説していきます。
前回は、基本となる「第⼀種特例贈与認定中⼩企業者」の添付書類①~⑬のうち、⑤~⑦まで解説しました。
今回は、⑧以降について解説していきます。
⑧上場会社等及び⾵俗営業会社のいずれにも該当しない旨の誓約書
⑨特別⼦会社・特定特別⼦会社に関する誓約書
⑩贈与者・受贈者・その他の⼀定の親族の⼾籍謄本等
⑪特例承継計画⼜はその確認書
⑫その他、認定の参考となる書類
⑬返信⽤封筒
⑧⑨は申請会社が誓約する誓約書です。
こちらは中小企業庁のホームページの添付書類(PDF)の説明事項の中に書式があります。
該当するケースに応じて作成する必要があります。
⑩は、贈与の時における認定申請中小企業者の株式を保有する次の者の戸籍謄本等です。
・贈与者(先代経営者)
・受贈者(後継者)
・申請会社の議決権を有する親族全員
・剰余⾦の配当等または損⾦不算⼊給与を受けた親族全員(一定の場合には不要)
⑪の特例承継計画又はその確認書では、贈与を受けた後継者が、特例計画書に記載された特例後継者であることを確認するためのものです。
既に特例承継計画の確認書の交付を受けている場合には、その確認書を提出します。
まだ特例承継計画の確認を受けていない場合には、認定申請書と同時に特例承継計画の確認申請書を提出します。
なお、特例承継計画を新規に提出することができるのは、平成35年3⽉31⽇までです。
平成35年4月1日以降は、既に提出した特例承継計画を変更することは可能ですが、新規に提出することはできませんので、ご注意ください。
⑫はその他、認定の参考となる書類ですが、申請会社が事前確認(任意)を受けている場合には、その確認書を提出します。
直前期末から贈与時までの間の資産及び負債について著しい増減があった場合や合併、株式交換等があった場合には、贈与時の貸借対照表、その事業年度開始の⽇から贈与時までの損益計算書、株主資本等変動計算書などを提出する必要があります。
その他、認定を判断するための資料として、参考資料の提出を求められることがあります。
⑬宛先を明記した定形外封筒を同封します。
認定申請書及び添付書類は、贈与年の10月15日~翌年1月15日までの間に、各都道府県の申請窓口に提出します。
3回にわたり「特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書(基本となる第⼀種特例贈与認定中⼩企業者)」の添付書類について解説してきました。
次回は、これまでの流れを確認しながら、税務署への申告について解説していきます。
認定申請書の添付書類についてご不明なことがありましたら、お気軽に名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所までお問い合わせください。初回相談は無料で承ります。
執筆者 税理士 笘原拓人
非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)⑪認定申請書の添付書類~その2~
投稿日:2019.08.19
こんにちは。
名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所の税理士の笘原です。
2018年4月1日から施行されている、大きく改正をされた非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)について、国税庁のパンフレットよりも一歩踏み込んだ解説や注意点、実務の落とし穴などについて解説をしていきたいと思います。
前回より引き続き、「特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」の添付書類について解説していきます。
前回は、基本となる「第⼀種特例贈与認定中⼩企業者」の添付書類①~⑬のうち、④までご説明しました。
今回は、⑤~⑦についてご説明します。
⑤贈与契約書の写し及び贈与税額の⾒込み額を記載した書類
⑥従業員数証明書
⑦贈与認定申請基準年度の決算書類
⑤の贈与契約書がない場合には、当該贈与の事実を証する書類(譲渡承認をした取締役会議事録、取締役会による譲渡承認の通知書、株主名簿書換請求書等の写し)を添付する必要があります。
また、贈与により取得した株式等に係る贈与税の⾒込額及び納税猶予⾒込み税額を記載した書類を添付する必要があります。
この書類の作成にあたっては、次の事項を記載します。
・1株当たりの評価額
・その贈与により後継者が贈与を受けた株式数等
・贈与税総額(⾒込額)及び株式等に係る納税猶予額(⾒込額)
・相続時精算課税の適⽤を受ける場合には、そのことがわかるような記載。
⑥は、認定申請書の別紙2に記載する従業員数を証明するものとして、贈与の日における従業員数証明書を添付する必要があります。
また従業員数証明書と一緒に、次の書類も提出が必要となります。
・厚⽣年⾦保険の標準報酬⽉額決定通知書
・健康保険の標準報酬⽉額決定通知書
・その他の資料
協会けんぽの場合には、上記の通知書に替えて、被保険者縦覧照会回答票で贈与日の従業員数を証することができます。
その他の資料は、75歳以上で厚⽣年⾦保険及び健康保険の加⼊対象外である場合に、2カ月を超える雇用契約があり、正社員並みの雇用実態がある従業員の雇用契約書や、使用人兼務役員の兼務役員雇用実態証明書を指します。
⑦は決算関係書類ですが、贈与の⽇の3年前の⽇を含む事業年度以後の各事業年度分の決算関係書類等を添付します。
決算関係書類等というのは、以下の通りです。
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・個別注記表
・事業報告書(または法⼈事業概況説明書)
・減価償却明細表(固定資産台帳)
・勘定科⽬内訳書
・本社、事業所、⼯場などの謄本や賃貸借契約書など
(従業員が勤務するための物件を所有または賃借していることがわかる書類として)
・売買契約書、請負契約書など
(商品販売、役務提供などの業務を3年以上引き続いて⾏っていることがわかる書類として)
なお、上記は、常時使用する従業員(後継者と⽣計を⼀にする親族を除く。)が5⼈以上いることなどの要件を満たす場合になります。要件を満たさない場合には、法人税申告書別表4などの書類も必要となります。
今回は、添付書類⑤~⑦まで解説しました。
次回は、添付書類⑧以降について解説していきます。⇒添付書類8〜13以降はこちらで解説しています。
認定申請書の添付書類についてご不明なことがありましたら、お気軽に名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所までお問い合わせください。初回相談は無料で承ります。
執筆者 税理士 笘原拓人
非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)⑩認定申請書の添付書類~その1~
投稿日:2019.08.02
こんにちは。
名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所の税理士の笘原です。
2018年4月1日から施行されている、大きく改正をされた非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(事業承継税制)について、国税庁のパンフレットよりも一歩踏み込んだ解説や注意点、実務の落とし穴などについて解説をしていきたいと思います。
前回までに、「特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」の記載内容について解説してきました。
今回より、この認定申請書に添付する書類について解説していきます。
添付書類についても、基本となる「第⼀種特例贈与認定中⼩企業者」についてご説明します。
提出が必要な書類は、次のとおりです。
①認定申請書(原本1部、写し1部)
②定款の写し
③株主名簿の写し
④登記事項証明書の原本
⑤贈与契約書の写し及び贈与税額の⾒込み額を記載した書類
⑥従業員数証明書
⑦贈与認定申請基準年度の決算書類
⑧上場会社等及び⾵俗営業会社のいずれにも該当しない旨の誓約書
⑨特別⼦会社・特定特別⼦会社に関する誓約書
⑩贈与者・受贈者・その他の⼀定の親族の⼾籍謄本等
⑪特例承継計画⼜はその確認書
⑫その他、認定の参考となる書類
⑬返信⽤封筒
①の認定申請書は、前回までに記載事項をご説明してきた申請書及び別紙のことです。
②の定款の写しは、贈与認定申請基準⽇時点で有効な申請会社の定款の写しを添付する必要があります。
基準日については、納税猶予⑥の回でご説明しましたが、贈与の日によって基準日が変わります。
また、定款の写しには、原本証明をする必要があります。
具体的には、
「この写しは、第⼀種特例贈与認定申請基準⽇(令和○○年〇⽉〇⽇)における当社定款の原本と相違ないことを証明します。」と記載し、〇の中には基準日を記載します。
そして、原本証明をした日付、会社名、代表取締役名を記入し、法人の代表印(実印)を押印します。
③の株主名簿の写しについても、原本証明をします。
次の全ての時点における株主名簿が必要となります。
(1)贈与者が代表者であった期間のうちいずれかの時(贈与の直前に代表者でない場合)
(2)贈与の直前
(3)贈与の時(贈与の直後)
(4)第⼀種特例贈与認定申請基準⽇
(1)は、贈与者(先代経営者)が代表者であったいずれかの時において、「同族過半数・同族内筆頭」であったことの確認のために提出します。
(2)は、贈与者(先代経営者)が贈与の直前において、「同族過半数・同族内筆頭」であったことを確認するために提出します。
(3)は、受贈者(後継者)が、その贈与により、「同族過半数・同族内筆頭」となったこと。
(4)は、受贈者(後継者)が、その贈与により取得した株式等を継続して保有していることの確認のために提出します。
なお、贈与⽇が10⽉15⽇〜12⽉31⽇である場合には、(3)と(4)は同⼀のものになります。
次に、④の登記事項証明書というのはいわゆる会社の謄本のことをいいますが、第⼀種特例贈与認定申請基準⽇以降に取得した申請会社の履歴事項全部証明書のことです。
これは写しではなく、必ず原本が必要になります。
この履歴事項全部証明書では、次のことを確認します。
・後継者が贈与前3年以上にわたって役員に就任していたこと。
・後継者が贈与の時には代表者に就任していたこと。
・贈与者が贈与の時において代表者でないこと。
以上のことが履歴事項全部証明書からわかるものを添付する必要があります。
ですので、贈与者(先代経営者)が過去に代表者であった旨の記載が履歴事項全部証明書にない場合には、併せてその旨の記載がある閉鎖事項証明書を添付します。
今回は、添付書類①~④まで解説しました。
次回は、添付書類⑤以降について解説していきます。
認定申請書の添付書類についてご不明なことがありましたら、お気軽に名古屋市中区金山の笘原拓人税理士事務所までお問い合わせください。初回相談は無料で承ります。
執筆者 税理士 笘原拓人
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