事業承継税制の取り消し事由

事業承継税制は、納税を猶予する制度ですが、取り消し事由に該当すると、納税の猶予が取り消され、利子税とあわせて納付する必要があります。

 

事業承継税制の取り消し事由は非上場株式納税猶予に関する詳細に記載されていますので、ご確認ください。

 

1.会社の要件が該当した場合

事業承継税制では、会社が次のいずれにも該当しないことが制度を受けるための要件としています。

 

  1. 上場会社
  2. 中小企業に該当しない会社
  3. 風俗営業会社
  4. 資産管理会社

 

そして、経営承継期間内は、非上場であること、風俗営業会社に該当しないことが求められていて、該当した場合猶予打ち切りになります。ただし、経営承継期間経過後に該当した場合は、取り消し事由にはなりません。

 

資産管理会社は、経営承継期間内でも経営承継期間経過後でも該当すれば取り消し事由になります。

 

2.株式を譲渡した場合

事業承継税制の適用を受けた株式を譲渡した場合、以下の条件によって猶予が取り消しとなります。

 

  1. 特例経営承継期間内であれば猶予打ち切り
  2. 特例経営承継期間の経過後であれば譲渡した部分に対する贈与税と利子税をあわせて納付

株式を譲渡した場合

 

ただし、その譲渡が「免除対象贈与」に該当した場合は、取り消し事由にはなりません。「免除対象贈与」とは、すでに事業承継税制の適用を受けている株式が後継者に贈与され、その後継者が株式についての事業承継税制の適用を受ける場合をいいます。

 

なお、経営承継期間経過後に事業の継続に困難な事由が生じた場合の株式の譲渡に対しては、一部免除されることもあります。

 

3.後継者が代表権を有しなくなった場合

やむを得ない理由を除いて後継者が会社の代表権を有しなくなった場合は、以下の条件によって、猶予打ち切りか猶予継続かに決定します。

 

  1. 特例経営承継期間内であれば猶予打ち切り
  2. 特例経営承継期間の経過後であれば猶予継続

後継者が代表権を有しなくなった場合

 

やむを得ない理由とは、以下に該当する場合を言います。

イ)精神障害者保健福祉手帳1級の交付を受けたこと

ロ)身体障害者1級または2級の交付を受けたこと

ハ)要介護認定の要介護5を受けたこと

ニ)イ)~ハ)までに掲げる事由に類すると認められること

 

4.資産管理会社に該当した場合

会社が資産管理会社に該当した場合は、特例経営承継期間内、期間経過後を問わず、猶予打ち切りとなります。

 

  1. 特例経営承継期間内、猶予打ち切り
  2. 特例経営承継期間経過後、猶予打ち切り

 

会社が資産管理会社に該当した場合

 

資産管理会社とは、資産保有型会社と資産運用型会社があり、資産保有型会社は、資産の保有割合が総資産の総額の70%以上の会社、資産保有型会社は、特定の資産からの運用収入が総収入金額の75%以上の会社が該当します。

 

資産管理会社に該当した場合は、特例経営承継期間内か経過後かに関係なく猶予打ち切りとなります。

5.雇用条件を下回った場合

特例経営承継期間の末日に雇用の平均が8割を下回った場合、以下の条件によって猶予継続となります。

 

  1. 特例経営承継期間内、猶予継続(ただし、報告書の提出義務有)
  2. 特例経営承継期間経過後、猶予継続

 

雇用条件を下回った場合

 

※一般措置の場合、1.に該当しますと猶予打ち切りになります。

 

特例措置の場合、雇用の平均が8割を下回った場合でも、下回った理由等を記載した報告書を都道府県知事に提出し、確認を受けることで猶予継続となります。

 

実質上、特例措置の場合、雇用条件の維持は事実上猶予打ち切りの要件ではなくなりました。

 

6.継続届出書の提出義務

特例経営承継期間内は、毎年、所轄の税務署へ継続届出書を、都道府県知事に対して年次報告書を提出する義務があります。

 

特例経営承継期間経過後は、3年ごとに継続届出書を提出します。

継続届出書の提出義務

 

税務署への継続届出書の提出を怠った場合、猶予打ち切りとなり、贈与税・相続税の全額と利子税を納付しなければなりません。