非上場株式納税猶予の特例措置認可の手続き

非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予および免除の制度を利用するには、決められた順番に従って手続きを行う必要があります。

 

また、手続きには、「一般措置」と「特例措置」の違い、「贈与」と「相続」の違いがあります。

 

このページでは「特例措置」の手続きについて順番に記載していきますが、「贈与」と「相続」にも違いがあることに注意してください。

非上場株式納税猶予の特例措置認可の手続き

1.特例事業承継計画の策定

事業承継税制の特例措置を受けるためには、特例承継計画を提出する必要があります。

 

特例承継計画は、会社の後継者や承継時までの経営に関する内容を記載した書面となります。事業承継税制を利用する場合、まず特例承継計画を策定し、都道府県知事に提出し確認を受けます。なお、特例承継計画には、認定経営革新等支援機関の所見を記載する必要があります。

 

認定経営革新等支援機関とは、税理士や商工会議所等一定レベル以上の知識を持った専門機関で認定を受けた機関のことになります。なお、笘原拓人税理士事務所は認定革新等支援機関のため特例承継計画の作成が可能です。

 

 

参考事業承継時に必要な特例承継計画書作成の料金【45万円~】

 

特例承継計画の確認を受けることで、特例措置を利用できます。なお、特例承継計画の提出は令和5年3月31日までとなります。

 

2.贈与(相続)の開始

事業承継税制の適用を受けるためには、実際の贈与または相続をする必要があります。

 

先代経営者から後継者へ株式の贈与をします。株式数は、全株数か一定数以上となりますが、先代経営者の条件、後継者の条件がそれぞれにありますし、贈与か相続かによっても条件が違ってきます。

 

贈与の場合の後継者の主な要件
  • 贈与時において代表権を有していること
  • 20歳以上であること(令和4年4月1日以降の贈与については18歳以上)
  • 役員の就任から3年以上経過していること
  • 後継者および後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有していること
  • 後継者の有する議決権数が、次のイ)またはロ)に該当すること

 イ)後継者が1人の場合、後継者と特別の関係がある者の中で最も多くの議決権数を保有すること となること

 ロ)後継者が2人または3人の場合、総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ後継者と特 別の関係がある者の中で最も多くの議決権数を保有すること

 

贈与の場合の先代経営者の主な要件
  • 会社の代表権を有していたこと
  • 贈与の直前において、贈与者および贈与者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと
  • 贈与時において、会社の代表権を有していないこと

 

相続の場合の後継者の主な要件
  • 相続開始の日の翌日から5ヶ月を経過する日において会社の代表権を有していること
  • 相続開始のときにおいて、後継者および後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有していること
  • 相続開始のときにおいて、後継者の有する議決権数が、次のイ)またはロ)に該当すること

 イ)後継者が1人の場合、後継者と特別の関係がある者の中で最も多くの議決権数を保有すること となること

 ロ)後継者が2人または3人の場合、総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ後継者と特 別の関係がある者の中で最も多くの議決権数を保有すること

 

相続の場合の先代経営者の主な要件
  • 会社の代表権を有していたこと
  • 相続開始直前において、贈与者および贈与者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと

 

3.都道府県知事の認定

贈与または相続があった後、申告期限までの間に都道府県知事の円滑化法の認定を受ける必要があります。

 

円滑化法の認定は、上記の要件を満たしていることで申請することができます。認定は、申告期限の2ヶ月前までとなり、贈与税の場合は、1月15日までに、相続税の場合は、相続開始の翌日から8ヶ月以内となります。

 

4.贈与税または相続税の申告書の作成および提出

贈与税または相続税の申告期限までに、事業承継税制を受ける旨記載した申告書と添付書類を作成し、税務署へ提出する必要があります。

 

また、その際には納税が猶予される分と利子税に見合う担保を提供する必要があります。担保は、事業承継税制の適用を受ける株式等のすべてを提供した場合、納税が猶予される税額および利子税に見合う担保の提供があったものとみなされています。

 

申告期限は、贈与税の場合、贈与を受けた年の翌年2月15日から3月15日まで、相続税の場合、相続開始があったことを知った日から10ヶ月以内となります。

 

5.納税猶予期間中の手続き

納税猶予期間中は、毎年、継続届出書を提出する必要があります。

 

継続届出書は、所轄の税務署に対して提出する必要があり、怠ると猶予されている税額の全額と利子税を支払う必要があります。継続届出書は、特例経営承継期間内(何もなければ5年間)は、毎年提出し、特例経営承継期間経過後は、3年ごとに提出します。

 

また、特例経営承継期間内は、都道府県知事にも毎年年次報告書の提出義務があります。

 

なお、特例経営承継期間内で、株式の譲渡があった場合など、確定事由に該当した場合は、納税の猶予は打ち切りになり、猶予されていた贈与税や相続税の全部または一部について利子税とあわせて納付する必要があります。

 

6.免除届出書・免除申請書の提出

猶予されていた納税について納付が免除される事由が生じた場合、免除届出書および免除申請書を提出することで、猶予されていた納税分の全部または一部が免除されます。

 

贈与税の場合の納付が免除される主な場合
  • 先代経営者が死亡した場合
  • 後継者が死亡した場合
  • 特例経営贈与承継期間内においてやむを得ない理由により会社の代表権を有しなくなった日以降に免除対象贈与を行った場合
  • 特例経営贈与承継期間の経過後に免除対象贈与を行った場合
  • 特例経営贈与承継期間の経過後において会社について破産手続開始決定等があった場合
  • 特例経営贈与承継期間の経過後に、事業の継続が困難な一定の事由が生じた場合において、会社について、譲渡および解散した場合

 

相続税の場合の納付が免除される主な場合
  • 後継者が死亡した場合
  • 特例経営贈与承継期間内においてやむを得ない理由により会社の代表権を有しなくなった日以降に免除対象贈与を行った場合
  • 特例経営贈与承継期間の経過後に免除対象贈与を行った場合
  • 特例経営贈与承継期間の経過後において会社について破産手続開始決定等があった場合
  • 特例経営贈与承継期間の経過後に、事業の継続が困難な一定の事由が生じた場合において、会社について、譲渡および解散した場合