兄弟仲が疎遠でも「公正証書遺言」と「個別対応」で円満解決した事例

基本情報
| 被相続人 | 母 |
| 相続人 | 子3名(兄、弟、弟) |
| 相続財産 | 数億円 |
相談時の状況は?
一刻を争う申告と、潜在的な紛争リスク
ご依頼人である相続人の方は、医師から余命数か月の宣告を受けておられ、「自分が動けるうちに、スムーズに相続を終わらせたい」という切実なご希望をお持ちでした。
しかし、状況は一筋縄ではいきませんでした。
● 遺言の内容
亡くなったお母様は「公正証書遺言」を遺されていましたが、内容は長男に多くを継がせるもので、他の2名にとっては「遺留分(法律で保障された最低限の遺産相続分)」を侵害している状態でした。
● 人間関係
兄弟仲は疎遠で、当人同士での話し合いは困難。遺言通りに進めようとすれば、強い反発やトラブルが予想される状況でした。
相談への対応
感情に寄り添い、法律を誠実に伝える
「争続」を避け、期限内に円満な申告を行うため、私たちは以下の2点を軸に対応しました。
● ① 個別報告による「心理的ハードル」の解消
ご依頼人である相続人の方の体調が悪かったこともありますが、兄弟間の直接対話を避けるため、依頼人以外の相続人の方々へ、個別に相続税申告書のご説明の場を設けました。
第三者である税理士が中立な立場で介入することで、感情的な対立を抑え、冷静な話し合いの土壌を整えました。
● ② 「遺留分」と「遺言の優先順位」の丁寧な解説
「遺言書の内容が不公平だ」という不満を放置せず、「法律上、1/6の遺留分を請求する権利があること」を最初にお伝えしました。
その上で、公正証書遺言が持つ法的効力と、お母様の意思を尊重する意義を丁寧にご説明しました。
対応による結果
お母様の意志を尊重した「スピード申告」の実現
丁寧な個別説明の結果、他の相続人の方々にも「遺言書通りの相続」について深くご理解をいただくことができました。
結果として、遺留分侵害請求に発展することなく、お母様の遺志を尊重した形でのスムーズな相続税申告が完了しました 。ご依頼人の「存命のうちに解決したい」という願いも、最良の形で叶えることができました。
今回の対応のポイント
仲が不安な時こそ「公正証書遺言」を
今回の事例で改めて痛感したのは、「公正証書遺言」の絶大な効果です。
もし遺言書がなければ、疎遠な兄弟間での遺産分割協議は難航し、申告期限に間に合わない、あるいは裁判沙汰になっていた可能性も否定できません。たとえ内容に偏りがあっても、公的な遺言書があることで「故人の決定」という強力な指針となり、話し合いの起点になります。
「家族の仲が良くないから、相続が不安だ」
そう感じていらっしゃる方は、まずは遺言書の準備、そして、家族の「橋渡し」ができる専門家への相談を検討してみてください。
名古屋市中区 笘原拓人税理士事務所 相続税専門チーム


