生前贈与加算の加算期間が延長されます!

 

 

①暦年課税の生前贈与加算について、相続開始前の加算期間が3年から7年に延長される。

②ただし、延長した4年の間に受けた贈与については、合計100万円までは相続財産に加算しない。

 

【適用時期】

令和6年以後の贈与から(実質的に影響が出るのは令和9年以後。加算期間が7年になる完全移行は令和13年以後

 

 

参照元:経営革新等支援期間推進協議会の資料より

 

 

《 実務上のポイント 》

・延長された期間の控除額(合計100万円)は年間ではなく延長された期間全体の控除額に注意

 

 

 

参照元:経営革新等支援期間推進協議会の資料より

 

 

 

令和5年度(2023年度)の税制改正大綱について

相続税・贈与税に限定して解説します。

 

あくまで速報です。

詳しくは国会で法案が通らないと決まらないです。

 

・相続開始前3年以内の贈与財産の加算(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm

を次のように改正する予定です。

 

3年を7年に改正する予定です。

 

暦年贈与の非課税の110万円に対する課税の強化を図る目的になります。

ただ、遡る期間はあくまで7年ですので、今までよりも、相続税の対策は早くやれば早くやる方が有利という形になりました。

令和6年1月1日以後の贈与から適用される予定になります。

 

・相続税時精算課税制度を選択しても毎年の暦年贈与の110万円の非課税が使える。

相続税時精算課税制度(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

 

今までは上記のサイトの真ん中にあるように

(注) 相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。

 

これが不要になります。

 

相続税時精算課税制度を適用すると暦年贈与の非課税が使えないことが大きなデメリットでした。それが使えるようになります。とてもありがたい改正です。

 

令和6年1月1日以後の贈与から適用される予定になります。

 

・教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm

 

こちらも課税の強化はあるものの3年延長になりました。

 

一度に多額の資金を贈与できるのはやはり魅力です。

 

 

>>相続税の生前対策についてもっと読む

 

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相続税期限申告はいつ?間に合わないときはどうなる?

 

 

相続税の申告期限は、「被相続人の死亡の日(正確には相続の開始があったことを知った日)の翌日から10か月以内」と相続税法で決まっています。正当な理由がない限り申告期限の延長は認められていません。もし、期限内申告ができない場合、相続税の軽減に関する特例を適用できなくなるというデメリットがあり、さらに附帯税等が課せられます。
相続税期限内申告を可能にするには、期限内申告に間に合わない可能性が出てきたときに、適切な対処法を知っているかどうかで決まります。ここでは、実際に考えられる理由をいくつか紹介し、対処法を解説します。ただ、正直に申し上げますと生前の準備と相続開始後の早期の着手が大切です。申告期限に間に合わないことは不利益が大きいので、なるべく早く税理士へ依頼することをお勧めします。

 

被相続人の死亡した日がいつなのか。正しい相続税の申告期限とは?

相続税の申告を期限内に完了させるには、相続税の申告期限を正しく認識することから始まります。先に述べた通り、申告期限は「その相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。例えば、被相続人が9月1日に亡くなったと仮定します。この場合の申告期限は翌年7月1日です。この期日が土曜・日曜・祝日にあたる場合には、次の平日、つまり翌日7月2日が期限となります。

 

▼詳しくは国税庁ホームページをご覧ください>>相続税の申告と納税

 

 

相続税期限内申告が間に合わない!考えられる要因3つと対処法

 

相続税の期限内申告が間に合わない理由の多くに、次の3つがあげられます。

1つめは「相続財産の洗い出しに時間がかかる」

2つめは「相続手続きの書類収集に時間がかかる」

3つめは「遺産分割協議が進まない」という理由です。

申告業務を進める中で、これらの理由で申告が間に合わない場合、どのような対処法があるのでしょうか。それぞれの事態が発生する要因とともに、詳しく見ていきましょう。

 

要因1:相続財産の洗い出しに時間がかかる

相続税の申告には、財産目録の作成が必要です。そのために、被相続人の相続財産の洗い出しをしなければなりません。相続財産は、現金預金や不動産のように「プラスの財産」だけではなく、借入金や未払金など「マイナスの財産」も相続の対象となります。

ここで相続財産が漏れてしまうと、「申告漏れの財産」として修正申告や更正の請求が必要となります。再度の申告が必要とならないよう、念入りな調査が必要です。そこで、財産の洗い出しにかかる時間を短縮するために、事前の準備は大切です。

相続が発生する前の生前中にエンディングノートやエクセルなどで財産の一覧を記載しておく、複数ある金融機関の口座を解約して金融機関を集約しておくなどの対策が必要です。また、遺産整理業務を請け負ってくれる専門家もいます。専門家が熟練していると資料の収集は早いです。

ただし、遺産整理業務の請け負いを専門としていない専門家は通常業務の片手間にやるケースがありますので、逆に相続人がやるより時間がかかるケースもありますのでご注意ください。

 

要因2:相続手続きの書類収集に時間がかかる

相続手続きに必要な書類はさまざまです。収集に時間がかかる書類として、相続人全員の戸籍謄本や印鑑登録証明書、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本などがあげられます。被相続人や相続人の転籍が多い場合は、戸籍謄本を収集するだけでかなりの時間を要します。これらの書類収集の時間を短縮するための対処法として、専門家の利用をおすすめします。

 

要因3:遺産分割協議が進まない

遺産分割協議とは、「誰が、どの財産を、どのくらい相続するか」を決めることです。相続人全員で話し合って決めるため時間のかかるケースがあります。時間のかかる遺産分割協議への対処法として、相続税に精通しているコンサルティングができる税理士の力を借りるとスムーズにいくケースもあります。また、生前の対策にはなってしまいますが、遺言書があれば遺言書の通りにスムーズに相続が進みます。

 

参考>>相続税申告期限とは?期限や間に合わなかった場合の対応法

 

未分割でも期限内に一旦申告する

本来であれば、申告期限までに遺産分割協議書を完成させてからの申告が望ましいですが、「未分割財産」として申告することもできます。ただし、「未分割財産」として申告する場合、相続税申告の軽減措置が受けられません。(配偶者の税額軽減や小規模宅地等の課税価格の特例などの後の対処法はあります)
そして未分割の財産が分割できた後、確定した分割の割合などに応じて修正申告もしくは更正の請求が必要となります。

 

参考>>相続税申告における未分割の取り扱い

 

相続税申告期限を過ぎた場合のペナルティ3つ

相続税申告期限に間に合わない場合、たとえ期限後申告したとしてもペナルティは発生します。 主なペナルティは ・延滞税の発生 ・無申告による加算税の発生 ・特例や控除が適用不可 の3つです。それぞれの内容について解説します。

 

ペナルティ1:延滞税の発生

納付期限の翌日から納付した日までの日数に応じて、利息に相当する額が延滞税として課税されます。相続税の納付期限は申告期限と同じです。

 

ペナルティ2:無申告による加算税が発生

申告期限までに相続税の申告をしなかった場合、無申告加算税が発生します。加算税算定の基準は次の通りです。

  • 期限後に自主的に申告した場合・・・追加納付した税額の5%
  • 税務調査により無申告が発覚し期限後に申告した場合・・・追加納付した税額の10%~15%

 

ペナルティ3:特例や控除が適用できない(場合によります。)

特例や控除が適用できるのは、申告期限内に遺産分割が完了している場合です。したがって、遺産分割協議が終わっていない場合は、特例や控除が適用できなくなります。

 

また、「特例を適用したら納税額がゼロになった」という場合でも申告は必要です。納税額がないから申告する必要がないわけではありません。特例の申告要件といいます。

 

相続税の申告・納付の延長が認められる場合

 

 

相続税の申告と納付の延長は、正当な理由がある場合のみ認められています。「正当な理由」とは次の通りです。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により申告できなかった場合
  • 災害等を受けた場合

 

どちらの場合も、相続人が勝手に判断できるものではありません。災害による期限延長は、国税庁が発表した災害に該当している場合のみ「正当な理由」として認められます。
申告と納税の延長が認められるかどうかは「個別対応」となっています。どちらの場合も「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の提出し税務署長の承認が必要です。
また、期限延長の個別申請による税務署長の承認を受けていても、申告書の提出日が納付期限となるため注意が必要です。

 

まとめ

相続税申告書が提出期限に間に合わない場合、正当な理由がある場合を除き、さまざまなペナルティが課せられます。これは法定申告期限に間に合わせる他の納税者との課税の公平を図るためです。正当な理由があれば個別延長を認められますが、正当な理由として対象となるかどうかは税務署が判断します。当然の権利ではありません。
ペナルティの中でも「無申告」が一番厳しいので注意しましょう。未分割の財産があっても未分割のまま一旦申告と納税をするなど、期限内申告ができるよう先に述べたような対処法を参考にし、準備をしておくことが大切です。繰り返しになりますが、申告期限に間に合わないことは不利益が大きいので、なるべく早く税理士へ依頼することをお勧めします。

 

◆参考記事・関連ページ ※こちらも合わせてチェック!

相続税申告手続きの一般的な手順・流れ

 

相続税申告に関してよくある質問

 

知っておきたい相続税の税務調査について

相続税は自分で申告できる?それとも専門家に相談するべき?

 

 

相続税の申告で多い悩みは「専門家に依頼する方が良いのか」です。自分で申告したという話も聞けば、相続税の申告は難しいので専門家でなければできないといった話も聞きます。
そこで今回は、自分で申告するか、税理士をはじめとする専門家に相談するのかの判断基準について解説します。

 

自分で相続税申告VS専門家に依頼するのとでどんな違いがある?

「平成30事務年度 国税庁実績評価書及び国税庁統計情報 相続税申告・課税状況」によれば、相続税の申告者数の15.6%が自分で申告しているという調査結果があります。 この結果を見る限り「税理士をはじめとする専門家に依頼するのが必須」ではなく自分で申告できることが分かります。

 

相続税を自分で申告する場合と、専門家である税理士に依頼する場合の違いの大きな分かれ目は「費用」です。


しかし、現実は費用の問題だけではありません。ではどのような違いがあるのでしょうか。


それは次の3つです。

 

1.資料収集について

2.遺産分割についてアドバイス

3.納税方法について

 

資料収集について

相続税の申告には相続財産を確定するために収集しなければならない資料があります。この資料が複数必要な場合には、集めるだけで時間と労力を費やします。

また、ヌケモレなく資料を収集して相続税申告書に記載できるか。という問題があります。

 

参考>>相続税申告する際の必要書類と添付書類を徹底解説

 

 

遺産分割についてアドバイス

遺産の分け方などにより特例適用の有無が異なり、相続税は多くも少なくもなります。

また二次相続もあります。

全体最適を考えた遺産分割ができるか。という問題があります。

 

参考>>相続税申告における未分割の取り扱い

 

 

納税方法について

相続財産のほとんどが土地や建物である場合は要注意です。


相続税の納税方法は「現金納付」が原則ですから、現金がない場合にどのようにして納付するべきか検討しなければなりません。

 

これら3つが基準になり「自分で申告するか、専門家に依頼するか」を判断します。

 

 

▼詳しくは国税庁ホームページをご覧ください>>相続税の申告と納税

 

 

相続税の申告に必要な主な手続きを簡単に解説

 

 

相続税の申告を自分でする場合でも、専門家に依頼する場合でも必須になる手順や手続きがあります。
ここでは相続税の申告までに必要な3つの手順に分けて手続きとともに解説します。

 

1.すぐに確認するべき2つのこと

2.3カ月以内にするべき2つのこと

3.遺産分割協議の開始

 

すぐに確認するべき2つのこと
遺言書の有無

遺言書の種類は2種類あり、公正証書遺言か自筆証書遺言です。
公正証書遺言の有無は、近くの公証役場に問い合わせをすることで確認できます。
自筆遺言は、親族の誰かに預けている場合や法務局に保管している場合、また被相続人の部屋のどこかにあるといった場合もあります。
遺言書がありその内容について法的不備がなければ、遺言書通りに執行します。

 

関連記事相続税専門の税理士に遺言書作成を依頼するべき理由とは?

 

 

相続人調査

遺言書があれば、遺言書に記載されている人が相続人です。しかし法定相続人も確認しなければなりません。

 

遺言書の内容が優先されますが、相続税の申告書においては基礎控除があるため、相続人の数を正確に把握する必要があります。そのため戸籍謄本を取得して正確な法定相続人の確認が必要です。

 

3カ月以内にするべき2つのこと
相続財産調査

被相続人が亡くなった時点で、どのような財産を所有していたか確認します。
遺言書通りに財産が残っていることもあれば残っていないこともあります。
不動産や金融資産などすべてを洗い出さなければなりません。多額の負債がある可能性もあります。
ここに時間を費やすとその後の「相続放棄・限定承認」に時間がかけられなくなります。

 

相続放棄・限定承認の申述

相続放棄と限定承認は両方とも家庭裁判所に申述書を提出しなければなりません。
この申述書が家庭裁判所で認められなければ、相続放棄も限定承認もできません。

 

遺産分割協議の開始
遺産分割協議が必要な場合と分割方法

遺言がなく相続人が複数いる場合は、不動産を相続登記するために遺産分割協議書が必要です。また、遺産分割協議書に書かれている財産や相続人をもとに相続税の申告をします。


不動産登記以外にも、法定相続分の通りに分割しない場合や預金を引き出す場合、相続人が複数人いて後のトラブル防止のために作成します。

 

分割方法は相続人で協議しますが、場合によっては弁護士をはじめとする専門家に介入してもらうこともあります。

 

遺産分割協議が不要な場合

次にあてはまる場合、分割協議は不要です。

・相続人が1名のみでトラブルが発生しない
・遺言書の内容通りに遺産分割ができる
・遺言書はないが法定相続分の割合で分割する

 

相続税の申告

 

 

相続税の申告・納税と並行して、不動産の相続登記と財産の相続処理をすすめます。

 

関連記事相続税申告手続きの一般的な手順・流れ

 

 

相続税を自分で申告するメリット
  • 税理士報酬がかからない

 

相続税を専門家に依頼する6つのメリット
  • 自分の相続税申告にあった特例適用ができる
  • 相続税が課税されるかどうかが判断できる
  • 二次相続のアドバイスが受けられる
  • 無駄な時間を費やす必要がない
  • 提携先の紹介が受けられる
  • 税務調査への対応 →知っておきたい相続税の税務調査について

 

 

相続税には各種特例があり特例を適用するためには、相続税の申告は必須です。また、相続人によっては二次相続を視野に入れなければならないケースもあります。

しかし二次相続は税理士に相談しなければ、自分で対策することは難しいのが現状です。そのほか資料収集の時間が取れない場合、税理士であれば提携専門家の委任状で書類収集できる、税理士から申告していれば、税務調査の立合い依頼ができます。

 

 

 

相続税申告の手続きは難しいので専門家に相談

 

 

相続税の申告は形の上では自分でできます。しかし正確な税額計算と必要書類は専門家に相談する方が確実です。税務署は申告モレについては指摘しますが、過大納付に関してはわざわざ行政コストを費やしてまで教えてはくれません。

 

また、税法の特例選択は納税者の任意選択のため、強制的に税務署が特例選択をすることもできません。これは相続税の申告書に限らず贈与税、所得税、法人税など全ての申告書に言えることです。

 

日本は申告納税方式のため、申告書が提出されれば税務署は必ず受領します。しかし、申告書が形の上で作れて提出できたことと、あなたにとって適切な申告書とは別問題です。

 

また税理士であれば提携している弁護士や司法書士がいますので、ワンストップで相続税の申告にまつわる問題を解決できます。相続税の申告は自分でするより、確実で時間のロスもない税理士に依頼するのがおすすめです。

 

→相続税申告を専門家に依頼するとしたらどれくらい費用がかかる?申告料金を見てみる

 

 

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相続税申告に関してよくある質問

 

相続税申告期限とは?期限や間に合わなかった場合の対応法

 

 

相続税には申告期限があるのを御存じでしょうか?

一般的に相続税の申告期限は被相続人の死亡の日の翌日から10ヶ月となっています。

短い期限ではない様に見えますが、さまざまな処理が必要なため予定より時間を取られ、申告期限が過ぎてしまう方も見受けられます。

相続税申告期限内に自分で手続きをすることができるのか?

また間に合わない場合のペナルティや救済措置などをわかりやすくご紹介いたします。

 

相続税申告期限と開始日

 

相続税の申告期限の開始日は、一般的なケースで被相続人の死亡の日の翌日からと定められています。

例えば1月10日にお身内の方がお亡くなりになった場合は、そこから10ヶ月として11月10日が申告の期限になります。
10ヶ月という申告期限は、つまり支払い期限(納付期限)にもなります。

10ヶ月=300日ではありませんので注意しましょう。

 

ただし、相続税申告書を提出する税務署の窓口が受付可能な日が申告期限の日、納期限の日になりますので、もし該当する申告期限の日が土日、祝日でしたら次の平日が期限になります。

 

▼詳しくは国税庁ホームページをご覧ください>>相続税の申告と納税

 

 

よくある相続税の申告期限に間に合わない理由

 

 

 

実際に手続きをしてみると、次のような内容が課題になり相続税申告書や添付書類を申告期限内に提出するのが難しくなってきます。

 

1.提出書類の収集

2.財産目録の完成

3.遺産分割協議書がまとめられない

 

1.提出書類の収集

まず亡くなった方(被相続人)の戸籍に関しての書類ですが、除籍謄本、改正原戸籍謄本(出生してから亡くなるまでの連続謄本)、住民票の除票(本籍記載で死亡時に作成)、を用意します。

同じく、相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明(遺言書がない場合)が必要になります。

そして遺言書がない場合には遺産分割協議書を作成するのですが、それには相続人全員の記名捺印の必要があります。

この捺印には印鑑証明の印鑑を使用します。

改正原戸籍謄本を用意する際に留意が必要な点として、亡くなった方が生前に引っ越しをされている場合は、戸籍を移籍した全ての市町村で戸籍謄本を取らなければなりません。

謄本を取って初めて、被相続人が引っ越しをしていた、出生地が違った、など意外な事実が判明するケースは多く見受けられます。

書類を取りに行くのが近隣の市町村ならまだしも、遠方の場合には郵送で役所とやり取りする場合も多く、時間を要します。

 

相続人の戸籍や住民票、印鑑照明も、同じ様なケースで手元に用意するまでに時間がかかります。

この書類をご自身で用意していただくのが一番早いですが、相続人がご高齢の場合や老人ホームや施設などに入居されている場合は、他の方が委任状を用意して書類を取りに行かなくてはいけません。

さらに、しばらく連絡が取れない方や、海外で生活している方など相続人ご本人の書類を用意するのが大変困難なケースもあります。

このように、案件ごとにさまざまな必要書類が発生するため、用意する段階で時間を要し、申告期限に間に合わないことがあります。

 

また、相続税の特例を使う場合に追加で必要となる身分関係の書類が発生する場合もあります。

そのため、何よりも早めに資料収集をすることが肝要になります。

 

参考>>相続税申告する際の必要書類と添付書類を徹底解説

 

2.財産目録の作成

財産目録の作成は遺言書などがあり、仮にその遺言書に不動産や預貯金、有価証券など全ての遺産が遺言書に記載されていても、相続財産の価額を評価計算する作業があります。

遺言書がないケースでは、相続人が被相続人の財産の整理から始めなければなりません。

また、この財産の評価は財産評価基本通達に定められているので、評価方法を調査し評価額を計算しなければならず、時間を多く費やします。

 

3.遺産分割協議書がまとめられない

遺産分割協議をまとめられず相続税の申告期限に間に合わない事例も見受けられます。

遺産分割協議にあたり相続人が複数人いて、遺産分割協議内容に納得がいかず話が一向にまとまらないケースです。

相続税申告では遺産の分割の内容次第で特例の適用も変わり、相続税の納付額も変わります。

そのため、基本的には遺産分割協議も相続税の申告期限の前まで終わらせる必要があります。

終わらない場合は未分割で相続税の申告をしなければなりません。

 

参考>>相続税申告における未分割の取り扱い

 

なお、未分割の財産については使えない特例もございます。

未分割を避けるためにも遺言書の作成はとても大切になります。

 

参考>>相続税専門の税理士に遺言書作成を依頼するべき理由とは?

 

 

ペナルティを負うケース

相続税の申告期限を1日でも過ぎるとペナルティがあります。

 

1.附帯税等

1.延滞税 

延滞税は、納付の期限までに支払われるべき相続税を納付していない場合、また期限の後に修正などで納付した税額が不足していた場合に発生します。

 

2.無申告加算税

無申告加算税とは、正当な理由がなく申告期限内に申告しない場合に発生します。

課税額は「自主的に申告を行った場合は納付税額の5%」となり「税務署からの調査連絡や指摘などで申告を行った場合は納付税額の10%~20%」となっています。

 

未分割で申告することの不利益
1.特例を適用できない

相続税の申告にはいくつか特例があり、その特例を適用させることで納税額を減額させることが可能になります。

その適用要件の1つに遺産分割などでその財産を取得する相続人が確定していること、とされている特例がありますので注意しましょう。

代表的な特例は小規模宅地の特例や配偶者の税額軽減になります。

 

2.相続税は申告期限に現金一括納付が原則

未分割でも相続税は申告期限に現金一括納付が原則です。

未分割であるということは被相続人の預金は拘束されたままで、相続人は自由に使えないということでもあります。

相続人の手持ちの預金で多額の相続税を納税しなければならないということはとても大変なことです。

 

繰り返しになりますが、遺産分割協議書がまとまらず未分割で申告をするケースは多いです。

遺言書があれば未分割という事態は避けられますので、遺言書を用意することはとても大切です。

 

参考>>相続税専門の税理士に遺言書作成を依頼するべき理由とは?

 

申告期限の延長と未分割の救済措置

 

 

申告期限の延長

基本的に相続税の申告期限は延長する事はできませんが、例外的に可能な場合があります。

代表的なものは昨今の自然災害等が原因で延長が認められる場合です。

新型コロナウイルスについても、新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長の個別延長の申請書を提出し所轄税務署長等が承認した場合は延長されます。

なお納付期限は申告期限に連動しますので、納付期限も自動的に延長されます。

 

未分割の救済措置

未分割で申告をして申告期限後3年以内の分割見込書も添付する。

遺産分割協議がまとまらない場合は未分割の財産を法定相続分で分割したと仮定して、相続税申告書を作成し、申告期限後3年以内の分割見込み書を作成して添付します。

なお、一部財産が判明しない場合には概算で申告をするケースもあります。

この申告期限後3年以内の分割見込書は、まだ遺産分割が決定していない未分割の財産についてあくまでも3年以内に分割の見込みがありますと明示してある書類です。

後日改めて遺産分割が完了した後に、特例の適用なども含めて還付・更生の請求、もしくは追加納付・修正申告などの手続きを行い、納税額の調整をします。

 

まとめ

相続税の申告期限は10ヶ月と長く、余裕がありそうに思えます。

しかし、なんらかの特別な理由や正規の手続きがなく相続税の申告期限に間に合わなかった場合は罰金などのペナルティが課せられる事があります。

また、未分割で申告する場合は未分割の申告することの不利益があります。

税務署の窓口で聞くこともできますが相談の予約を取っても、相談窓口の時間が限られているので十分な相談ができずに終わる場合も少なくありません。

ご不安な方は、相続税申告期限や相続についてのプロである税理士に1度相談してみる事をおすすめします。

今まで暗礁に乗り上げていた事でも解決の糸口が見えることも少なくありません。

 

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相続税申告手続きの一般的な手順・流れ

 

相続税申告に関してよくある質問

 

知っておきたい相続税の税務調査について

タンス預金は違法なのか?時効や隠し方、対処法

1.タンス預金とは

 

タンス預金とはあくまで俗称で、タンスだけではなく、自宅に保管してある現金預金をいいます。日本銀行の発表によると、日本全国のタンス預金はなんと100兆円を超しているとのことです。

 

どれだけ時代が進んでも、現金を手許に保管しておきたいという人はまだまだ多いことがこのことからもわかります。

 

2.相続税申告においてタンス預金の何が問題か

 

相続税申告においてタンス預金の何が問題になるのかといえば、タンス預金の計上漏れが考えられる点です。

 

どういうことか具体例を挙げてみましょう。


被相続人(お亡くなりになった人)が12月31日にお亡くなりになったとします。

 

その時点で被相続人の預金残高が1000万円だったとします。しかし、被相続人の通帳を過去数年分、確認しているとある時は300万円、ある時は500万円、と合計で3000万円引き出されていたとします。


この時、税務調査官は「この3000万円はタンス預金として自宅に保管されているのではないか?」と考えるのです。


そして、贈与には時効という概念がありますが、タンス預金には時効という概念はありません。何十年前のものであっても財産計上は必要となります。

 

3.税務調査時に論点となるタンス預金
 

令和元年時点のデータで税務調査時の財産計上漏れの内、33%が現金・預貯金となっています。

 

もちろん、33%の中にタンス預金がどれだけの割合を占めいているかまでは分かりませんが、税務調査時に現預金が論点になることは往々にしてあります。【参照元:「令和元年事務年度における相続税の調査等の状況」国税庁】

4.タンス預金があった場合の対処法

 

相続発生時点でタンス預金があった場合には適正に財産計上する必要があります。被相続人が夫であり、相続人がその妻であった場合は、タンス預金は夫の財産だと推測されますので財産計上が必要となります。

 

タンス預金はばれないから計上しなくてよいのかといえば、明確にNOです。どれだけうまく隠しても税務調査官の目をすり抜けることは困難ですし、何よりも意図してタンス預金を隠した場合は重加算税の対象となることが考えられます。

 

5.タンス預金は争族の原因にもなる

 

タンス預金は被相続人の財産である以上、遺産分割協議の対象となります。申告書に財産計上せずに、タンス預金を独り占めしたとして、このことが後から別の相続人に発覚した場合、無用な争いを引き起こす可能性があります。

 

争族にならないためにも、タンス預金をきちんと財産計上することは大事です。

 

相続税申告する際の必要書類と添付書類を徹底解説

 

 

相続税申告は難しいイメージがあり、不安な方もいるかもしれません。

大切なご家族の方が亡くなったとき、相続税の納税義務が発生することがあります。

葬儀や法要でそれどころではないという方も多いですが、相続税の申告には期限があります。

相続税申告に必要な書類について事前に把握しておくと、いざ相続が発生した時に焦らずに済むでしょう。

今回は、必要な書類や相続税の申告期限について詳しく解説します。

 

相続税の申告をしなければならない方は?

相続が生じたとしても遺された財産によっては相続税申告を行う必要がないケースもあります。

相続税申告をしなければならない方は被相続人の相続財産が基礎控除額を超える場合にその相続財産を取得した人になります。

相続税には「基礎控除」という非課税枠が設けられており、被相続人の相続財産の相続税評価額の合計額が基礎控除額の範囲内であれば、相続税の申告はしなくても大丈夫です。

 

 

相続税申告の基礎控除額の計算方法は?相続税申告には、期限がある

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出できます。

「法定相続人」とは、民法で定められた相続人のことを言います。

 

法定相続人が一人のケースの基礎控除額を見ていきましょう。

「3,000万円+600万円×1人」で3,600万円ということになります。

 

法定相続人が二人の場合 3,000万円+600万円×2人 で、4200万円です。

法定相続人が三人の場合 3,000万円+600万円×3人 で、4800万円です。

 

法定相続人の人数によって、基礎控除額も変わります。

この基礎控除額を超過した場合、相続税の申告を行う必要があります。

 

例えば、法定相続人が二人の場合は4200万円以内であれば相続税の申告が必要ないですが、4500万円だった場合には、申告が必要です。

 

相続税申告書の提出先は税務署ですが、被相続人の住所のある地域を管轄している税務署となります。

全国どこの税務署でも手続きできるシステムではないので注意が必要です。

 

相続税申告の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

相続税申告の期限を過ぎてしまうと、附帯税として重いペナルティーが課せられるので、手続きは早めに進めることをおすすめします。

 

相続税申告期限とは?期限や間に合わなかった場合の対応法

 

相続税申告するときの必要な資料の入手方法

「相続税の申告書」に加えて、他の資料を添付する必要があります。

どこにどんな種類の資料を貰いに行ったらよいかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

後述で相続財産の種類別に必要となる資料を表にまとめましたので、参考にしてみてください。

全ての資料を集めるまでには平均1カ月前後かかると予想されますので、早めに資料の収集をすることが大切です。

 

「相続税申告書」は、税務署か国税庁ホームページで入手可能

「相続税申告書」は、税務署か国税庁のホームページから相続税申告書は相続が発生した年の様式をダウンロードして入手します。

書き方は、氏名や住所、誰がいくら相続税を支払うのかを細かく記載します。

書き方に関しては、国税庁のホームページをご覧ください。

記載しなければならない書類は、第1表から第15表までありますが、必要な書類を選択して使用してください。

 

相続財産の種類別!相続税申告するときに必要な資料と受け取り先ご紹介

相続税申告をするときに頻度の高い種類は、以下の2点です。

1.生命保険金の受取人である場合

2.預貯金を相続する場合

 

1.生命保険金の受取人である場合

生命保険金を受け取るケースでは、「生命保険金支払通知書(生命保険会社)」、「生命保険証書(自宅)」を準備してください。

 

2.通帳の預貯金を相続する場合

通帳の預貯金を相続する場合は、「金融機関の預金残高証明書(金融機関)」、「定期預金の既経過利息計算書(金融機関)」、「被相続人の通帳のコピー(自宅)」を集めてください。

 

その他にも、相続税申告をするときの必要書類一覧を見ていきます。

自分に該当する相続財産の種類を確認してみてください。

 

なお、弊社で相続税申告をご依頼いただいた場合には、相続税申告のための資料収集チェックリストをお客様と一緒に行い、相続税申告に必要な書類をヌケモレなくお伝えします。→相続税申告手続きの流れ

 

また、必要な資料を収集する時間がとれないという方は、提携先の司法書士事務所に遺産整理業務を依頼することも可能です。

 

相続税申告するときに身分関係の書類で準備すべき書類一覧

相続する財産によって必要書類は異なります。

全ての書類を集めるまでには平均1カ月前後かかると予想されます。

相続税の申告期限もあるため、可能な範囲でできる限り早めに取り組みましょう。

 

相続税申告にあたって集める書類

入手先

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等

市区町村役場 (被相続人が亡くなってから10日以上が過ぎた後に取得したものが必要)

相続人の戸籍謄本

印鑑証明書(遺言がなく、かつ相続人が2人以上で遺産分割協議書で遺産を分割する場合)

被相続人の住民票の除票

被相続人の戸籍の附票(特例などで必要になるケースがあります)

相続人の住民票(マイナンバーカードをお持ちでない方は個人番号あり)

相続人の戸籍の附票(不動産相続登記や特例などで必要になるケースがあります)

※まずは相続人を特定することが大切です。

 

相続税申告するにあたって、「建物」や「土地」を相続するときに必要な書類

 

 

不動産が「建物」と「土地」で集める書類が異なります。

 

建物

集める書類

入手先

登記簿謄本(全部事項証明書)

法務局

固定資産税評価証明書または名寄せ

市区町村役場

賃貸借契約書

自宅

 

土地

集める書類

入手先

登記簿謄本(全部事項証明書)

法務局

地積測量図または公図の写し

固定資産税評価証明書または名寄せ

市区町村役場

賃貸借契約書

自宅

住宅地図

ゼンリン又はグーグルマップ
路線価図(路線価のある土地)        国税庁HP  
評価倍率表(路線価のない土地で一定の場合)  

※法務局や国税庁で入手できる資料は公開情報のため、弊社が取得いたします。また、ゼンリンの地図もご準備いたします。

 

相続税申告する場合に、株式や投資信託を相続するときに必要な書類一覧

 

 

「非上場株式」と「上場株式・投資信託」では、集める書類が異なります。

 

非上場株式

集める書類

入手先

法人税等決算書申告書一式(直近3期分)

該当する企業

相続開始の日の生命保険の解約返戻金等の資料など

生命保険会社

法人所有の固定資産税評価証明書又は名寄せなど

市町村役場

※非上場株式の評価はとても専門的なため、ご自身で作成するのは相当難しいと思います。 また上記以外にも必要な書類が発生する可能性はあります。

 

上場株式・投資信託

集める書類

入手先

証券会社の残高証明書

契約している証券会社

配当金の支払通知書

自宅

 

相続税申告の特例や控除を受けるときには、別の書類を準備する

相続税の税額控除や特例の適用を受けるときは、それぞれに応じた書類を準備しなければなりません。

よく発生する事例の「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額軽減」で必要となる書類を見ていきましょう。

両方の適用を受ける場合、同じ書類を集めなければならないとお困りの方もいるかもしれませんが、一つで問題ありません。

 

相続税申告で小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受ける場合に必要な書類

必要書類

入手先

相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)(遺言書がない場合)

市区町村役場

 

遺言書又は遺産分割協議書の写し

自分で作成又は専門家に依頼

※他にも必要な書類が発生するケースもあります。

小規模宅地の特例は相続人の誰もが適用できる特例ではないため、誰が相続したかが非常に重要になります。

上記で重複しているものを除きます。

 

相続税申告で配偶者控除の適用を受ける場合に相続税申告するときに必要な書類

上記に記載の資料の他には特にありませんが、配偶者が取得した財産を明確にするために、遺言書又は遺産分割協議書の写しは必要になります。

 

まとめ

相続税申告に必要な書類や相続税の申告期限について詳しく解説しました。

相続税申告は、書き方を調べたり、必要書類を確認したり、書類等の不備の訂正など、予定していた以上に時間がかかることがよくみうけられます。

相続税の申告期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内となっていますが、時間にゆとりがないケースも多いです。

相続税の申告手続きが自分では不安な方は、専門知識のある税理士にご相談いただけると安心できるかと思います。

親身になって相談にのってくれる実績豊富な税理士に相談することをおすすめします。

相続税申告手続きの適切な助言に加え、節税に関するさまざまなアドバイスも貰えるでしょう。

自分一人で抱え込まずに、税理士に依頼することも検討してみてください。

 

当事務所には相続専門チームがあり、相続税法に合格した税理士、税理士有資格者6名在籍しています。→相続税専門チームスタッフ紹介

相続税専任のスタッフが、お客様の問題解決に向けて責任を持って対応させていただきます。

なお、相続税申告における資料の収集についてですが弊社で相続税申告をご依頼いただいた場合には、相続税申告のための資料収集チェックリストをお客様と一緒に行い、相続税申告に必要な書類をヌケモレなくお伝えします。

また、必要な資料を収集する時間がとれないという方は、提携先の司法書士事務所に遺産整理業務を依頼することも可能です。
ぜひ一度、ご相談下さい。

 

◆自分では難しそう、、、相続税申告を税理士に依頼されることを検討してみたい方へ

 

まずは以下の関連ページをご覧ください。

相続税申告手続きの一般的な手順・流れ

 

相続税申告に関してよくある質問

 

相続税申告の税理士報酬がわかりにくい!とお困りではありませんか?

相続税の節税になる?配偶者短期居住権とは?存続期間や条件など概要をわかりやすく解説!

前回は、→相続税の節税となる配偶者居住権って?いつまで?要件は?よくある質問に専門家が一挙回答!

という記事を公開させていただきました。

 

今回は、配偶者短期居住権の概要についてです。

 

配偶者短期居住権とは

 

配偶者短期居住権とは、夫婦のどちらかが亡くなり、残された配偶者が亡くなった人の所有する建物(一般的には自宅)に居住していたことを要件に、相続開始以後、直ちに住み慣れた建物を出ていかなければならないとすると、精神的にも肉体的にも大きな負担となるため、遺産分割協議がまとまるまでか、協議が早くまとまった場合でも配偶者が亡くなってから6ヶ月間は建物に無償で住むことができる権利です。

配偶者短期居住権は配偶者居住権とは異なり、相続の開始により自動的に発生する権利です。

 

相続税の節税となる配偶者居住権って?いつまで?要件は?よくある質問に専門家が一挙回答!

 

 

配偶者短期居住権の及ぶ範囲

 

配偶者短期居住権は、配偶者が無償で使用していた部分についてのみ効力が及びます。その成立範囲については、居住部分に限らず、配偶者が無償で使用していた部分全体に及びます。

 

 

配偶者短期居住権の存続期間

 

配偶者短期居住権の存続期間は、遺産分割協議がまとまり建物の帰属が確定した日又は相続開始の日から6ヶ月を経過する日のいずれか遅い日までとされています。

それ以外の場合(配偶者が相続放棄をした場合など)については、建物の取得者からの「配偶者短期居住権の消滅の申入れ」を受けた日から6ヶ月を経過する日までとされています。

 

建物の使用について

 

配偶者は、配偶者短期居住権の存続期間内は建物に住み続けることはできますが、建物の所有者の承諾を得ることなく、他人に賃貸するなどこれまでと異なる用途で建物を使用することはできません。

 

建物の費用の負担

 

配偶者短期居住権が設定されている建物については、通常の必要費(固定資産税や通常の修繕費)は所有者ではなく、配偶者が負担する必要があります。

 

建物が滅失した場合の配偶者居住権

 

建物が地震で全壊してしまったなど、建物全体を使うことができなくなった場合は、配偶者短期居住権は消滅します。

 

登記について

 

配偶者短期居住権は登記することはできません。万が一、建物が第三者に譲渡されてしまった場合には、その第三者に対して配偶者短期居住権を主張することができません。配偶者は、建物を譲渡した者に対して、債務不履行に基づく損害賠償を請求することが考えられます。

 

配偶者短期居住権の財産評価

 

配偶者短期居住権は配偶者居住権とは異なり、相続税申告書における財産評価額は0円(相続税申告の対象外)となります。

国税庁の令和2年7月7日相続税及び贈与税等に関する質疑応答事例(民法(相続法)改正関係)について(情報)にも明確に記載されています。

 

配偶者居住権の具体的な評価方法につきましては、→「配偶者居住権の評価方法とは?」

にてご紹介していますので合わせてチェックしてみてください。

 

私たちは配偶者の生活を守る、そして、実は相続税の節税にも非常に効果的である、配偶者居住権を積極的に提案しています。

 

配偶者居住権を設定する相続税申告をしたい方、配偶者居住権を公正証書遺言に記載したい方は、ぜひ、笘原拓人税理士事務所までご相談ください。

 

相続税申告手続きの一般的な手順・流れ

 

相続税専門の税理士に遺言書作成を依頼するべき理由とは?

 

相続税申告に関してよくある質問

配偶者居住権って?いつまで?要件、評価方法、節税額など専門家が一挙解説!

1.配偶者居住権とは

 

配偶者居住権とは、夫婦のどちらかが亡くなった場合に、残された配偶者が亡くなるまで又は一定の期間、亡くなった人が所有していた建物に無償で住むことができる権利です。

 

2.配偶者居住権が新設された経緯

 

配偶者居住権は、令和2年4月1日以降に発生した相続から新たに認められた権利になりますが、なぜこのような制度ができたのでしょうか?

 

もともと、嫡出子(婚姻している男女の子)と非嫡出子(婚姻していない男女の子)の相続割合は異なっていて、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1でした。しかし、2013年9月4日の最高裁で、この民法の規定は憲法違反であるという判決が出て民法が改正され、今では「嫡出子と非嫡出子の相続割合は同じ」となりました。

 

この改正により、非嫡出子の相続分が増えたことで、結果として配偶者の相続分が減り、今まで住んでいた自宅を追い出されたり、生活資金を奪われるケースが増えてきたのです。

 

そこで、残された配偶者を守るために生まれたのが、配偶者居住権です。

 

3.配偶者居住権の成立要件

 

配偶者居住権が成立するためには、以下①~③の要件をすべて満たす必要があります。

 

  1. 配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に亡くなった時に住んでいたこと
  2. 遺産分割、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得したこと
  3. 亡くなった人が、亡くなった時に建物を配偶者以外の人と共有していないこと

 

4.配偶者居住権の存続期間

 

配偶者居住権は一度設定したら永遠に存続するというわけではありません。存続期間は、遺産分割協議や遺言で決めることになります。

 

実務上は、配偶者が亡くなるまで(終身)に設定することが多いと思います。

 

5.建物の費用の負担

 

配偶者居住権が設定されている建物については、通常の必要費(固定資産税や通常の修繕費)は所有者ではなく、配偶者が負担する必要があります。

 

6.建物が滅失した場合の配偶者居住権

 

建物が地震で全壊してしまったなど、建物全体を使うことができなくなった場合は、配偶者居住権は消滅します。

 

 

私たちは配偶者の生活を守る、そして、実は相続税の節税にも非常に効果的である、配偶者居住権を積極的に提案しています。

配偶者居住権を設定する相続税申告をしたい方、配偶者居住権を公正証書遺言に記載したい方は、ぜひ、笘原拓人税理士事務所までご相談ください。

 

◆関連ページ

相続税専門の税理士に遺言書作成を依頼するべき理由とは?

相続税申告手続きの流れ

 

 

配偶者居住権の評価方法について

 

 

次に、配偶者居住権の評価について、順番に説明させていただきます。

 

まずは、配偶者居住権の評価の考え方についてです。

 

配偶者居住権の評価の考え方

建物の所有者は、配偶者居住権の存続期間が終了した時に建物を自由に使うことができる状態に戻すことになります。

 

この点に着目し、配偶者居住権の価額は、建物の所有権部分の「配偶者居住権存続期間終了時の価額(将来価値)」を求め、それを現在価値に割り戻し、建物の時価からその割り戻した所有権部分の価額を控除した金額により評価します。

 

 具体的には、以下のような考え方になります。

 

  • 配偶者居住権存続期間終了時の建物の所有権部分の価額を減価償却に似た方法を用いて計算します
  • ①で計算した配偶者居住権存続期間終了時の建物の価額を現在の価値に割り戻して、相続開始時の建物の所有権部分の時価を求めます
  • 相続開始時の建物の価額から②で求めた所有権の価額を控除して配偶者居住権の時価を求めます

 

出典:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/200701/pdf/03.pdf

 

 

 

配偶者居住権の評価方法の概要についてご説明させていただきます。

 

配偶者居住権の評価方法

配偶者居住権の価額は、以下の算式により評価します。 ※1 建物の固定資産税評価額となります。

固定資産税評価額は、毎年4月頃に市役所から送られてくる固定資産税課税明細書で確認することができます。 ただし、建物の一部が賃貸されている場合、または、亡くなられたかたが建物を配偶者と共有していた場合には、次の算式により計算した金額となります。

※2耐用年数、※3経過年数、※4存続年数については、次回ご説明いたします。

 

建物の評価方法

建物の価額は、以下の算式により評価します。

控除される配偶者居住権の価額部分が相続税の節税となります。

 

敷地利用権の評価方法

敷地利用権の価額は、以下の算式により評価します。

 

※財産評価基本通達により評価した金額となります。

ただし、建物の一部が賃貸されている場合、またが、亡くなられたかたが建物を配偶者と共有していた場合には、次の算式により計算した金額となります。

 

 

建物の敷地の評価方法

建物の敷地の価額は、以下の算式により評価します。

 

 

控除される敷地利用権の価額部分が相続税の節税となります。

 

次に、評価の概要の説明の中に出てきた、耐用年数、経過年数、存続年数、存続年数に応じた法定利率による複利現価率という用語の意味について説明させていただきます。

 

 

 

耐用年数

耐用年数とは、耐用年数省令に定める住宅用の耐用年数を 1.5倍したものをいいます(具体的には次の表1のとおりです)

 

出典:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/200701/pdf/32.pdf

 

経過年数

経過年数とは、建物の新築時から配偶者居住権が設定された時までの年数をいいます。
配偶者居住権が設定された時とは、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる時をいいます。
(1)遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされた場合
遺産の分割が行われた時
(2)配偶者居住権が遺贈の目的とされた場合
相続開始の時

存続年数

存続年数とは、「配偶者居住権が存続する年数として政令で定める年数」をいうものとされています。
具体的には、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める年数をいいます。

(1)配偶者居住権の存続期間が配偶者の終身の間とされている場合
配偶者居住権が設定された時における当該配偶者の平均余命(具体的には、次の表2のとおりです)

出典:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/200701/pdf/33.pdf


(2)上記⑴以外の場合
配偶者居住権が設定された時から配偶者居住権の存続期間満了の日までの年数(配偶者居住権が設定された時における配偶者の平均余命を上限とします)

存続年数に応じた法定利率による複利現価率

上記3の存続年数に応じたものを下記の表から選択します。

出典:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/200701/pdf/34.pdf

 


具体的な数字を使って、配偶者居住権を設定した場合にどのくらいの節税となるかは、以下の記事にてご説明させていただいております。→配偶者居住権を設定した場合にどれくらい相続税の節税ができるか?計算例をシミュレーションしてみました。


私たちは配偶者の生活を守る、そして、実は相続税の節税にも非常に効果的である、配偶者居住権を積極的に提案しています。

 

配偶者居住権を設定する相続税申告をしたい方、配偶者居住権を公正証書遺言に記載したい方は、ぜひ、笘原拓人税理士事務所までご相談ください。

 

相続税申告手続きの一般的な手順・流れ

 

相続税専門の税理士に遺言書作成を依頼するべき理由とは?

 

 

 

配偶者居住権を設定した場合、どれくらいの節税ができる?実際にシミュレーション!

 

配偶者居住権を設定した場合にどのくらいの節税になるか、具体的な数字を使って説明させていただきます。

 

 

 

前提条件

 

配偶者居住権等の評価額

 

①配偶者居住権の価額

②配偶者居住権の価額

③敷地利用権の価額

④建物の敷地の価額

配偶者居住権を設定した場合の一次相続

(1)長男
配偶者居住権を設定せずに長男が土地建物を取得した場合は、
3,000万円(土地) +1,000万円(建物) = 4,000万円
の財産を引き継ぐことになります。

一方、配偶者居住権を設定した場合は、
配偶者居住権設定後の価額
土地2,103万円 + 建物 54万円 = 2,157万円
となります。

(2)母 配偶者居住権
存続年数とは、「配偶者居住権が存続する年数として政令で定める年数」をいうものとされています。
具体的には、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める年数をいいます。

(3)一次相続の財産の価額の合計額
(1)+(2)=4,000万円
一次相続の段階ではご自宅の財産の総額が4,000万円であることに変わりはありません。

配偶者居住権を設定した場合の母の二次相続

配偶者居住権は配偶者の一身専属の権利のため、二次相続では長男に相続されるわけではなく、母がお亡くなりになることにより消滅します。そのため、母の二次相続では配偶者居住権は相続財産ではなくなります。

長男は1,843万円(消滅した配偶者居住権の価額)を減額した状態で一次相続においてご自宅を相続したことになりますので、相続税の税率が20%の方の場合、368万円(1,843万円×20%)の節税となります。

今回の計算はあくまでも一例ですので、ご自身の土地建物に配偶者居住権を設定した場合に、どのくらいの節税となるかお知りになりたい場合は、一度相続税の試算をされることをおすすめします。

私たちは配偶者の生活を守る、そして、実は相続税の節税にも非常に効果的である、配偶者居住権を積極的に提案しています。
配偶者居住権を設定する相続税申告をしたい方、配偶者居住権を公正証書遺言に記載したい方は、ぜひ、笘原拓人税理士事務所までご相談ください。

 

配偶者居住権に関するよくある質問

 

Q1. 私が死んだ時に備えて、配偶者のために配偶者居住権を設定したいと考えているのですが、何をすればいいのでしょうか?

 

A1. あなたの所有する建物に配偶者が居住している場合には、遺言で配偶者へ配偶者居住権を遺贈することで、配偶者居住権を設定することができます。

ただし、あなたが亡くなった時点でもその建物に配偶者が居住している必要があります。

 

 

Q2. 配偶者が遺言をしないまま亡くなってしまった場合には、残された私は配偶者居住権を取得することはできないのでしょうか?

 

A2.配偶者が亡くなった時点であなたがその建物に居住していた場合には、他の相続人と遺産分割協議をすることで配偶者居住権を取得することができます。

 

 

Q3. 配偶者居住権を取得したのですが、私の家族をその建物に同居させることはできますか?

 

A3. 配偶者居住権が設定された建物に、家族が同居することは可能です。

 

 

Q4. 配偶者居住権を売却することはできますか?

 

A4. 配偶者居住権は第三者に売却することはできません。あなたが配偶者居住権を放棄することを条件に、これによって利益を受ける建物の所有者から金銭の支払いを受けることは可能です。

また、建物の所有者の承諾が得られれば、第三者に建物を賃貸し、賃料収入を得ることは可能です。

 

 

Q5. 配偶者の生前は、建物の一部を私たち夫婦の居住用として使ってたのですが、配偶者居住権の効力が及ぶのはその部分だけになるのでしょうか?

 

A5. 配偶者居住権は、配偶者がその建物の全部について無償で使用収益できる権利になりますので、建物の一部しか使用していなかった場合でも、配偶者居住権の効力は建物全部に及ぶことになります。

 

 

Q6. 配偶者居住権は登記しないといけないのですか?

 

A6. 配偶者居住権は成立要件を満たしていれば権利として発生しますが、第三者に対抗するためには登記が必要です。

また、建物の所有者は配偶者に対して配偶者居住権の登記を備えさせる義務を負っています。設定登記は配偶者と建物の所有者との共同申請となります。

 

 

配偶者居住権の具体的な評価方法につきましては、次回以降でご説明します。→配偶者居住権の評価について

 

私たちは配偶者の生活を守る、そして、実は相続税の節税にも非常に効果的である、配偶者居住権を積極的に提案しています。

 

配偶者居住権を設定する相続税申告をしたい方、配偶者居住権を公正証書遺言に記載したい方は、ぜひ、笘原拓人税理士事務所までご相談ください。

 

相続税専門の税理士に遺言書作成を依頼するべき理由とは?

相続税申告手続きの流れ

生前贈与加算とは?

1.生前贈与加算とは

 

生前贈与加算とは読んで字のごとく、「被相続人の生前3年以内に受けた贈与を加算します」ということです。

 

少し専門的に説明すると、被相続人からその相続開始前3年以内に贈与を受けた財産がある場合に、その被相続人の財産として計上して相続税の申告をするということです。

 

わかりやすいように具体例を見ましょう。夫と妻と長男の3人家族がいたとします。2021年4年1日に夫に相続が発生したとします。このケースでは、夫から妻と長男に2018年4月1日以降贈与があった場合にはその贈与がなかったものとされ、夫の財産に計上されるのです。

 

2.生前贈与加算の理由

 

それではなぜこのような法律があるのでしょうか?お客様で実際にあったケースですが、ある人が亡くなる数日前に「このままじゃ相続税がたくさんとられてしまう!」と考え、子供や孫にそれぞれ100万円ずつ、合計で500万円贈与しました。

 

これで相続財産を少しでも減らせたと一同ほっとしたそうです。


しかし、これは少し考えると不公平かもしれません。片や数日前に500万円を贈与した人は、その分相続税が安くなり、片や数日前に何もしなかった人はまるまる相続税が課せられる。たった少しの違いで税額に大きな差が出てします・・・不平等ですね。


そして、こういった行為は相続税の節税対策の側面が強く、贈与税が相続税の補完税である点からすると、そもそもの制度趣旨としても疑問が残ります。

 

そうである以上、国としてもお亡くなりになる3年前までの贈与はなかったことにすることで不公平を是正し、行き過ぎた節税策にストップをかけているのですね。

 

3.生前贈与加算の対象者

 

生前贈与加算の対象者は相続または遺贈により財産を取得した人です。ということは、法定相続人であっても財産を一切貰っていない相続人や、相続人でない孫は生前贈与加算の対象外です。


ですので、「贈与をして節税したい」という場合に、お孫さんといった法定相続人以外の人にも贈与を行うのは意味があります。なぜなら、法定相続人でないお孫さんは生前贈与加算の対象外になるからです。

 

少し応用的な話になりますが、しばしばお孫さんを生命保険の受取人にしている方や遺言書でお孫さんを財産の受取人にされている方がいます。⇒相続専門税理士による遺言書作成について

 

勘の良い方ですと、お気づきかと思いますがこの場合、お孫さんは遺贈によって財産を取得した受遺者(遺言で財産をもらった人)となり生前贈与加算の対象になるのです。

 

また、このようなケースもあります。法定相続人が配偶者と長男、二男だったとして、それぞれが被相続人より亡くなる数日前に100万円ずつ贈与を受けていたとします。遺産分割協議で二男は何も相続しない、と分割協議が成立した場合、二男が受け取った財産は加算対象外になります。


生前贈与加算ひとつ取っても色々な論点がありますね。ご関心がある方は税理士への相談をおすすめします。

 

4.生前贈与加算と相続時精算課税制度

 

生前贈与加算は暦年贈与が対象です。ですので、相続時精算課税制度を利用している場合には、そもそも生前贈与加算の対象外です。相続時精算課税制度についてはまた別の機会にご説明します。

 

⇒暦年贈与についてはこちら

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