親族間の賃貸借で地代の見直しをしなかったために、借地権が相続財産となってしまった事例

 

基本情報

 

被相続人
相続人 母、長男、長男の子(孫養子)
相続財産 数億円

 

相談時の状況は?

先祖代々、親族で多数の不動産を所有されていました。
その中に、土地の名義は長男様、その上の家屋の名義はお父様という不動産があり、過去に税務コンサルの助言を受け、お父様から長男様へ、毎月地代を支払われていました。
当初は借地権の評価額がゼロになるように地代の金額設定をしていたものの、その後地代の見直しをしていなかったため、お父様の相続時点で再評価したところ、借地権の評価額が発生し、相続財産に加えることとなりました。

 

相談への対応

地代を支払わない場合(使用貸借)、借地権は発生しませんが、底地の評価額は自用地評価額となります。
一方で、「相当の地代」以上の地代を支払っている場合、相続税における借地権評価額はゼロとなり、また底地権評価額も自用地評価額の80%に減額されます。
生計一親族であれば、地代として支払った金額は受け取った側の不動産所得には計上されませんので、所得税や贈与税が課されることもありません。そのため、無税でお父様から長男様へ資金を移動することができます。

No.2210 必要経費の知識
参考サイト(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm

ただし、相当の地代は土地の価額(時価)の6%、または過去3年間の相続税評価額の平均値の6%で計算されますので、地価の上昇局面において定期的な地代の見直しを行わないと、相当の地代を下回ることとなり、その場合は相続税における借地権評価額が発生します。
お父様の相続においては借地権の評価額を財産計上することとなりましたが、お母様と長男様間の賃貸借については、相続時に借地権評価額がゼロとなるよう今後定期的な地代の見直しを行うことをアドバイスさせて頂きました。

法令解釈通達 相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
参考サイト(国税庁)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm

 

対応による結果

次回のお母様と長男様への相続では相当の地代を支払っているので借地権という相続財産が発生することはありません。

 

 

今回の対応のポイント

親族間の賃貸借であれば、地代を支払わないケース(使用貸借)も多いかと思います。
しかし、地代の支払を行っていた場合、建物所有者は借地権という権利を有し、亡くなった際には、建物だけでなくこの借地権も相続税の対象となります。

この借地権ですが、契約者が個人か法人か、有償か無償か、権利金の支払いがあるか無いか、地代が高いか安いかなどの状況により評価方法や評価額が変わるので非常に複雑です。 専門的な知識も必要となる分野ですので、相続税の申告でお困りの方や将来の相続に不安のある方はぜひ一度ご相談ください。

 

名古屋市中区 笘原拓人税理士事務所 相続税専門チーム

 

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