生前の被相続人の預金の動きを説明して円満な相続が実現した事例

基本情報

 

被相続人
相続人 子2名(姉、弟)
相続財産 数億円

 

相談時の状況は?

ご依頼者の弟様は、長年お母様と同居されていました。お母様の身の回りの世話については、家事代行・介護支援サービスを弟様が手配することで、適切な生活環境を維持されていました。

 

一方で、別居されているお姉様とは疎遠な状態が続いていました。お姉様は、お母様と弟様が共有名義としている自宅のリフォーム代をお母様が負担していることや、弟様家族への過去の贈与、さらには日々の生活費の使途について、「実態が不透明である」と強い不信感を抱かれていました。
弟様としては、正しく申告するのはもちろんのこと、お姉様に不信感を取り除いてもらい、スムーズに相続を終えたいという思いが強くありました。

 

相談への対応

当事務所では、疑念を解消するためには「客観的な事実の積み上げ」が不可欠であると考え、以下の対応を行いました。

 

●入手可能な範囲で過去の通帳を徹底精査
通常、相続税申告では5年分の通帳を確認しますが、今回は入手可能な範囲でさらに過去まで遡り、すべての出金記録を確認しました。

 

●ヒアリングによる支出内容の特定
多額の出金や使途不明な支出について、弟様に一つひとつヒアリングを実施しました 。生活支援サービスの利用料や過去の贈与など、記録と記憶を照らし合わせながら内容を列挙していきました。

 

●無申告贈与の適正な申告
調査の過程で、共有名義の自宅リフォーム代がお母様負担となっていたことが附合による「贈与税の申告漏れ」に該当すると判明しました。これについても速やかに過年度分の贈与税申告を行い、税務上のリスクを解消しました。

 

対応による結果

お母様が生前に弟様一家へ行った贈与や支出の記録を一覧にまとめ、相続税申告書の説明とともに、お姉様へ丁寧に提示しました。
当初、全容が把握できないことに不信感を募らせていたお姉様でしたが、詳細な預金の動きが明らかになったことで「何にいくら使われたのか」を納得されました。結果として、懸念されていた「争族」に発展することなく、円満に相続を終えることができました。

 

今回の対応のポイント

親と同居している相続人と、離れて暮らす相続人の間では、どうしても「情報の格差」が生じがちです。これが「勝手にお金を使っているのではないか」という疑念に繋がり、トラブルの火種となります。

 

今回のように、外部サービス(家事代行や介護など)を利用している場合、その支払明細や通帳の記録を整理し、「誰が、何のために使ったお金か」を第三者の目線で明らかにすることが、信頼回復の第一歩となります。
生前であれば日常の支出も家計簿が理想ですがメモなどでも良いので明瞭に記録を残しておき他の相続人に説明ができる状態にしておくことが大切です。疑念をもたれないように請求書や領収書、クレジットカード明細を保存しておくとなお良いです。

 

過去の出入金をあえてオープンにすることは勇気がいることですが、専門家を介して「隠しごとのない状態」を作ることは、結果として他の相続人の理解を得る最短ルートです。預金の動きや過去の贈与に不安がある場合は、ぜひお早めにご相談ください。

 

名古屋市中区 笘原拓人税理士事務所 相続税専門チーム

 

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