名義預金の相続税申告|親と子のお金が混在していたケースの正しい対処法
投稿日:2026.01.25
目次
親と子のお金が混在していたケースの正しい対処法
相談内容
子ども名義の通帳に、親が生前にお金を入れていました。
その後、定期預金にしたり、別の口座に移したり、一部は被相続人の口座に戻したりと、入出金がかなり複雑です。
さらに、その通帳には自分が働いて稼いだお金も入金していました。
通帳と印鑑は親に預けていたのですが、これを相続税申告でどう扱えばいいのでしょうか?
対象となる財産
- 預金
名義預金は「名義」ではなく「実質」で判断される
相続税の実務で非常に多いのが、名義預金の問題です。
「子ども名義だから相続財産ではない」と思われがちですが、相続税ではそう単純ではありません。
重要なのは、
- 誰が原資を出したのか
- 誰が管理・支配していたのか
- 贈与の事実があったのか
という実質判断です。
今回のケースでは、
- 親のお金
- 子ども自身が稼いだお金
が同一口座に混在し、さらに入出金が頻繁に行われていました。
このまま曖昧な状態で申告すれば、税務調査で否認されるリスクが極めて高い状況でした。
実際に行った対応
私たちがまず行ったのは、徹底した事実整理です。
①平成19年以降の通帳・証券口座をすべて収集
- 銀行口座・定期預金・証券口座など
- 自宅に保管されていた通帳をすべて確認
②10万円以上の入出金をすべてExcel化
- 入金日
- 出金日
- 金額
- 資金移動の経路
これらをすべてExcelに落とし込み、時系列で整理しました。
③親のお金と子どものお金を理論的に区分
約6,000万円あった子供預金について、
- 親が原資のもの
- 子ども自身の給与・収入によるもの
を一つひとつ理論上区別し、「親のお金に該当する部分のみ」を名義預金として相続財産に計上しました。
なお、この作業には延べ約80時間という膨大な時間を要しています。
なぜ、ここまでの作業が必要なのか?
名義預金は、相続税調査で必ずと言っていいほどチェックされるポイントです。
- 「全部を相続財産に入れれば安全」
- 「少なめに申告してもバレないだろう」
どちらも正解ではありません。
「事実に基づき、説明できる根拠を持って申告すること」
これが最も重要です。
今回のように、
- 親と子のお金が混在
- 資金移動が多い
- 管理状況が曖昧
というケースほど、専門家による整理が不可欠になります。
税務署はどこを見るのか?4つの判断基準
税務署は、以下の観点から名義預金かどうかを判断します。
預金の原資(お金の出どころ)
預金に入金されたお金は、誰が稼いだものでしょうか。
名義人本人の収入から貯蓄されたものか、それとも被相続人の収入や財産から入金されたものかが重要なポイントです。
例えば、専業主婦の妻名義で数千万円の預金がある場合、その原資の説明が求められます。
預金の管理・運用者
通帳や印鑑、キャッシュカードを誰が保管し、実際に入出金の管理をしていたかも重要な判断材料です。
名義人本人が自由に引き出せない状態であれば、実質的に名義人の財産とは言えません。管理・支配は重要な概念です。
名義人の認識
名義人は、その預金の存在を知っていたでしょうか。
自分名義の預金があることを知らない、あるいは知っていても自由に使えないという状況であれば、名義預金と判断される可能性が高まります。
贈与の事実
適切な贈与の手続き(贈与契約書の作成、贈与税の申告など)が行われていたかどうかも確認されます。
贈与の事実が明確でなければ、単なる名義貸しと判断されます。
名義預金でお悩みの方へ(税理士・笘原拓人より)
名義預金は、
「知らなかった」
「昔のことだから覚えていない」
では済まされません。
相続税申告では、過去の通帳履歴を遡り、事実を積み上げる作業が求められます。
【名義預金チェックリスト】
以下の項目に当てはまる預金がある場合は、名義預金のリスクがあります。
□ 名義人以外の人が稼いだお金を原資としている
□ 通帳や印鑑を被相続人が保管している
□ 名義人は預金の存在を知らない、または自由に使えない
□ 贈与契約書や贈与税の申告をしていない
□ 名義人の収入に見合わない多額の預金がある
相続税は、正しく申告することで不要な追徴課税や税務調査のリスクを避けることができます。
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