【初心者向け】相続税申告は何から始める?全体像・必要書類・手続きの流れを税理士がわかりやすく解説

 

はじめに

「親が亡くなり、相続税の申告が必要かもしれない。でも何から手をつければいいのかわからない…」

 

そんなお悩みを抱えていらっしゃる方は決して少なくありません。
相続税の申告は、亡くなった方(被相続人)の死亡を知った日の翌日から 10か月以内 に行わなければならず、この短い期間の中で、書類集め・財産評価・遺産分割協議・申告書作成・納税と、やるべきことが山のようにあります。
しかも、必要な書類は役所・法務局・金融機関など取得場所が多岐にわたり、思いついた順に集めていくと、あっという間に期限が迫ってしまうことも。
本コラムでは、はじめて相続税申告に向き合う方に向けて、 手続きの全体像・必要書類・具体的な流れを、順を追ってわかりやすく解説します。「何を」「いつまでに」「どこで」揃えればよいかがひと目でわかる内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。

 

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まず押さえておきたい!相続税申告の全体像

 

そもそも相続税申告は全員に必要なわけではない

相続が発生しても、すべての人が相続税の申告をしなければならないわけではありません。相続税には「基礎控除」という非課税枠があり、遺産総額が基礎控除額以下であれば、申告も納税も不要です。
基礎控除額は次の式で計算します。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の計3人であれば、基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円」となります。遺産総額がこの金額を超えなければ、相続税の申告は必要ありません。
ただし、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を利用して納税額がゼロになる場合は、たとえ税額が発生しなくても 申告自体は必要 です。この点は見落とされがちなので、注意してください。

 

申告期限は「10か月以内」- 思っているより短い

相続税の申告・納税期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。たとえば、1月10日に亡くなったことを知った場合、申告期限は同年11月10日となります。
10か月と聞くと余裕があるように感じるかもしれませんが、実際には葬儀・法要・四十九日・役所への各種届出・遺品整理などに追われ、気がつけば数か月が経過していた…というケースも少なくありません。相続税がかかりそうだと見込まれる場合は、できるだけ早く準備に着手することが何より重要です。

 

申告の大まかな流れ(全体像)

相続税申告は、大きく次の流れで進みます。

時期の目安 やること
相続開始後すぐ 死亡届の提出、遺言書の確認
〜3か月 相続人の確定、相続財産の概要把握、相続放棄の判断
〜4か月 被相続人の準確定申告
〜5か月 財産評価、遺産分割協議、必要書類の収集
〜10か月 相続税申告書の作成・提出、納税

 

相続放棄は「相続開始を知った日から3か月以内」、準確定申告は「4か月以内」と、相続税申告より先に到来する期限があります。同時並行で進めていく意識が大切です。
「10か月以内」の相続税の申告期限はあくまで期限です。ギリギリでは何の対策もできないので早めの着手が肝心です。

 

相続税申告の手続きの流れ【7ステップ】

ここからは、実際にどのような手順で進めていくのかを、7つのステップに分けてご紹介します。

 

ステップ1:遺言書の有無を確認する

まず最初に確認すべきは、遺言書があるかどうかです。遺言書があれば、原則としてその内容に従って遺産分割を行います。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
自筆証書遺言が自宅等で見つかった場合は、家庭裁判所で検認の手続きが必要です(法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は不要)。公正証書遺言も自宅で保管されていることが多いですが、見つからない、あるかもしれないというときは最寄りの公証役場で検索・謄本の請求が可能です。

 

ステップ2:相続人を確定する

「誰が相続人になるのか」を正確に把握するために、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得します。被相続人に前婚の子どもや認知した子どもがいた場合など、予想外の相続人が判明するケースもあるため、この作業は非常に重要です。
なお、被相続人のお亡くなりになった最後の本籍地の市町村役場の窓口で出生から死亡までの戸籍が収集できます。
戸籍を集め終えたら、法務局で「法定相続情報一覧図」を作成しておくと便利です。無料で複数枚発行でき、銀行・証券会社・不動産登記など各種手続きで戸籍の束を提出する手間が省けます。司法書士に依頼をすると作成の代行をしてくれます。

 

【出典】主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例(法務局)
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

 

STEP 3:相続財産をもれなく調査する

次に、被相続人が所有していた財産と債務をすべて洗い出します。主な調査対象は次のとおりです。

 

【調査対象】
・不動産(自宅・土地・収益物件など)
・預貯金(普通預金・定期預金・ネット銀行含む)
・有価証券(上場株式・投資信託・非上場株式)
・生命保険金・死亡退職金
・その他(金地金、貸付金、自動車、ゴルフ会員権、書画骨董など)
・債務(借入金、未払金など)
・葬式費用(相続財産から控除できます)


不動産については、市区町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」を取得すると、被相続人が所有していた不動産を一覧で把握できるため、漏れを防ぐのに役立ちます。固定資産税課税明細書には記載されない非課税不動産や未登記不動産も、名寄帳で確認できます。

 

STEP 4:相続放棄・限定承認の判断(必要な場合)

財産よりも債務が多そうな場合は、相続放棄や限定承認を検討します。この手続きの期限は相続開始を知った日から3か月以内と非常に短いため、早めの判断が必要です。家庭裁判所で手続きを行います。

 

STEP 5:被相続人の準確定申告(必要な場合)

被相続人が個人事業主であった、給与以外の所得があった、不動産所得があったなどの場合は、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに確定申告を行います。これを「準確定申告」といい、期限は相続開始を知った日から4か月以内です。

 

STEP 6:遺産分割協議と協議書の作成

相続人全員で、誰がどの財産をどれだけ取得するかを話し合い、合意した内容を遺産分割協議書にまとめます。協議書には相続人全員の署名と実印の押印、印鑑登録証明書の添付が必要です。
遺産分割協議が申告期限までにまとまらない場合は、法定相続分で取得したと仮定して「未分割申告」を行うことになりますが、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が使えなくなるなど不利益が大きいため、期限内に協議をまとめることが理想です。

 

【遺産分割協議書とは?】 亡くなった方(被相続人)の財産を、相続人全体でどう分けるか話し合い、その合意内容をまとめた書類です。

【なぜ必要なの?】 日本では、人が亡くなると遺産は相続人全体の「共有財産」になります。そのままでは誰も自由に使えないため、「誰が何をもらうか」を正式に決める必要があります。その決定内容を証明する書類が「遺産分割協議書」です。


STEP 7:相続税申告書の作成・提出・納税

すべての書類と財産評価が揃ったら、相続税申告書を作成します。相続税の申告書は第1表から第15表まであり、財産の種類や適用する特例に応じて必要な表が変わります。申告書は、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します(相続人の住所地ではない点に注意)。
納税は、申告期限と同じ「10か月以内」に、原則として 現金一括 で行います。一括納付が難しい場合は、延納や物納の制度もありますが、事前の申請と一定の要件が必要です。

【関連ページ】

↓当所の相続税申告手続きの流れを詳しく!
相続税申告手続きの流れ

 

相続税申告に必要な書類【一覧】

相続税申告で必要な書類は、大きく分けると次の4グループに整理できます。

 

相続人・被相続人の身分関係に関する書類(全員共通)
書類名 取得場所
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(または戸籍全部事項証明書) 最後の本籍地の市区町村役場
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本 各相続人の本籍地
相続人全員の住民票または戸籍の附票 市区町村役場
相続人全員のマイナンバー確認書類 本人
相続人全員の本人確認書類(運転免許証等) 本人
遺言書または遺産分割協議書 -
相続人全員の印鑑登録証明書 市区町村役場
法定相続情報一覧図(あれば便利) 法務局

 

相続財産に関する書類

【不動産がある場合】
● 固定資産税評価証明書・固定資産税課税明細書
● 名寄帳
● 登記簿謄本(全部事項証明書)
● 公図・地積測量図
● 住宅地図
● 賃貸借契約書(貸地・貸家の場合)

↓不動産オーナーのための相続税申告はこちら
不動産オーナーのための相続税申告

 

【預貯金がある場合】
● 残高証明書(相続開始日時点)
● 過去の通帳・取引明細(過去5〜10年分が望ましい)
● 定期預金の既経過利息計算書(残高証明書に記載してもらえます)

 

【有価証券がある場合】
● 証券会社の残高証明書
● 配当金支払通知書
● 非上場株式の場合は、発行会社の直近3期分の決算書・法人税申告書・株主名簿など

 

【生命保険・死亡退職金がある場合】
● 保険金支払通知書
● 保険証券のコピー
● 退職金の支払調書

 

債務・葬式費用に関する書類

● 借入金の残高証明書、金銭消費貸借契約書
● 未払医療費・未払税金の領収書や請求書
● 葬式費用の領収書(お布施など領収書のないものはメモでも可)

 

各種特例・控除の適用を受ける場合の追加書類

小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、特例を利用する場合には追加の書類が必要になります。

 

【小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等の場合)】
● 被相続人の戸籍の附票の写し
● 相続人の戸籍の附票の写し(「家なき子特例」の場合)
● 遺言または申告期限までに遺産分割協議が成立していることを示す遺産分割協議書の写しなど

 

【配偶者の税額軽減】
● 遺言または遺産分割協議書の写し(相続人全員の印鑑登録証明書付き)など

特例は適用要件が複雑で、書類に不備があると適用を受けられないケースもあります。不安な場合は、相続税に精通した税理士に早めにご相談ください。

 

必要書類を効率よく集める3つのポイント

 

ポイント1:取得に時間がかかるものから着手する

金融機関の残高証明書や、被相続人の出生からの戸籍謄本は、発行までに2〜4週間かかることも珍しくありません。思いついた順ではなく、時間がかかるものから優先して依頼することで、全体のスケジュールを短縮できます。

 

ポイント2:戸籍謄本は「広域交付制度」を活用する

2024年3月から始まった戸籍謄本の広域交付制度により、本籍地が遠方でも最寄りの役所窓口で請求できるようになりました。郵送で複数の役所とやり取りする手間が大幅に減っています。ただし、請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られるなどの制限がある点には注意が必要です。

 

ポイント3:原本かコピーかを事前に確認する

相続税申告で原本提出が求められるのは 印鑑登録証明書のみ です。その他の書類はコピーで構いません。また、印鑑登録証明書は、遺産分割協議書の添付用・金融機関の手続き用・税務署提出用で、3通ほどまとめて取得しておくと効率的です。

 

自分でやる?税理士に頼む?判断のポイント

相続税申告は、頑張れば自分で行うこともできます。ただし、税理士に依頼すべきケースもあります。以下に当てはまる方は、専門家への相談をおすすめします。

➡︎ 不動産(特に土地)が相続財産に含まれている
➡︎ 非上場株式を保有していた
➡︎ 相続人間で意見が分かれている、または音信不通の相続人がいる
➡︎ 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などを適切に使いたい
➡︎ 申告期限までに時間的な余裕がない
➡︎ 税務調査が心配

土地の評価は特に専門的で、評価のしかたひとつで税額が大きく変わることがあります。誤った評価で過大に納税してしまったり、逆に評価を誤って税務調査で追徴課税を受けたりするケースも少なくありません。

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↓具体的な「相続税申告報酬」のシミュレーションはこちら
相続税申告報酬について

 

まとめ:まずは全体像を把握し、早めの準備を

相続税申告は、書類集めから財産評価、遺産分割協議、申告書作成まで、やるべきことが多く、想像以上に時間がかかります。10か月という期限は、着手が遅れるとあっという間に過ぎてしまいます。

本コラムでお伝えしたポイントをあらためて整理すると、次のとおりです。

● 相続税申告が必要かどうか、まずは基礎控除額で判定する
● 申告・納税期限は「亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」
● 流れは「遺言確認 → 相続人確定 → 財産調査 → 遺産分割 → 申告・納税」
● 必要書類は戸籍関係・財産関係・債務関係・特例関係の4グループ
● 時間がかかる書類から優先して集めるのがコツ
● 不動産や非上場株式、特例の適用がある場合は税理士への相談を検討

 

「何から手をつけていいかわからない」「期限が迫っているのに進んでいない」という方は、どうぞお早めに、相続税を専門に扱う税理士事務所へご相談ください。早い段階で専門家のアドバイスを受けることで、節税の余地を広げ、相続人の皆さまの精神的・時間的な負担を大きく軽減することができます。

 

当事務所でも、初回のご相談は 無料 で承っております。「うちの場合は申告が必要なのか?」「どんな書類を集めればいいのか?」といった初期のご相談から、申告書の作成・提出、税務調査の対応まで、ワンストップでサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。事前のご予約で土日祝平日夜間も対応いたします。

 

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「争族」を未然に防ぐ一手。父を支えた長男の想いと遺留分に配慮した公正証書遺言の作成

基本情報

 

被相続人
相続人 長女、長男)
相続財産 数千万円

 

相談時の状況は?

お父様の療養生活が始まった際、将来の相続について不安を感じたご長男からご相談をいただきました。
お父様は以前に離婚されており、ご長女は離婚したお母様と同居されています。 一方で、ご長男はお父様の体調が悪くなってから病院の手配や身の回りの世話など、献身的にサポートを続けてこられました。

 

ご長男には「献身的に支えてきた自負」がある一方で、相続が発生した際、離婚したお母様がご長女を通じて分割案に介入し、円満な解決が難しくなるのではないかという強い懸念がありました。

 

相談への対応

当事務所では、相続発生後に遺産分割協議を行うことは、親族間の信頼関係が根本から崩れるリスクが高いと判断しました。 そこで、お父様がご存命のうちに、以下の2点を軸とした「公正証書遺言」の作成をお勧めいたしました。

 

●「公正証書遺言」による確実な意思表示

相続発生後に、相続人全員の合意が必要な「遺産分割協議」を回避するため、公的な証拠力の高い公正証書遺言を作成し、お父様の意思を明確に残すことを提案しました。

 

●「遺留分」を考慮した設計

単にご長男に有利な内容にするだけでは、将来的にご長女側から「遺留分(法律上保障された最低限の相続分)」を主張され、争いに発展する恐れがあります。
当事務所では、提携する司法書士や弁護士とも連携し、将来の法的リスクを最小限に抑えるため、ご長女の遺留分(遺産総額の1/4)も預金によってしっかりとカバーした内容での遺言作成をアドバイスいたしました。

 

対応による結果

お父様にご納得いただき、遺留分に配慮した公正証書遺言を無事に作成することができました。
その後、実際にお父様が亡くなられた際、遺言書があったことで遺産分割協議を行う必要がなく、手続きは極めてスムーズに進みました。懸念されていたお母様の介入も、法的に不備のない遺言書の前では問題とならず、ご長女も納得した上で相続が進みました。

 

ご長男からは「生前に相談していたおかげで、父との最期の時間を大切に過ごせ、死後のトラブルも防ぐことができた」と感謝のお言葉をいただきました。

 

今回の対応のポイント

「自分がお父様を支えてきた」という感情的な背景がある場合こそ、感情論ではなく法的に有効な対策が必要です。 相続発生後に事実を伏せたり、一部の財産を隠した協議書を作成したりすることは、将来的な「錯誤無効」や信頼関係の破綻を招く極めて高いリスクを伴います。

 

同じような解決事例で兄弟姉妹がお亡くなりになっていて疎遠になった代襲相続人(甥・姪)がいるというケースも多いです。
もめない相続の鍵は「生前対策」にあります。当事務所では、提携する各分野の専門家と連携し、税務面だけでなく法的なリスクも包み隠さずご説明し、ご家族全員が納得できる円満な相続をサポートいたします。

 

名古屋市中区 笘原拓人税理士事務所 相続税専門チーム

 

登記簿上の地積は499㎡。実測により「地積規模の大きな宅地」を適用し115万円の節税を実現

 

基本情報

 

被相続人
相続人 長女・長男
相続財産 数億円

 

相談時の状況は?

ご自宅の土地は、登記簿上の地積が499㎡でした。
「特定居住用宅地等の特例」の要件は満たしていたものの、もう一つの大きな減額要因である「地積規模の大きな宅地の評価」の適用には、地積500㎡以上という高い壁がありました。

 

相談への対応

実測による「2割減額」への挑戦

わずか1㎡の差でこの評価減が適用できない状況でしたが、専門家の視点から「実際の面積は異なる可能性がある」と判断しました。

「地積規模の大きな宅地」の評価減が適用されると、土地の評価額を約2割減額(規模格差補正率を乗じる)することが可能です 。 登記されている地積が随分昔であったため、測量技術の進化を考えて、もしかしたらということで、測量費用という持ち出しはあるものの、それを上回る節税効果が見込めると判断し、実際に土地を測量することをご提案しました。

 

対応による結果

実際に測量を行った結果、地積が500㎡以上であることが判明しました。
これにより、当初の予定よりも低い「0.8」の規模格差補正率を適用することができ、宅地の評価額を2割削減することに成功しました。

 

【節税額の詳細】
  当初の計算 笘原拓人税理士事務所の計算
土地 61,678千円 49,400千円
家屋・預貯金等 96,403千円 96,403千円
債務・葬式費用 △1,504千円 △1,504千円
小規模宅地等の特例による評価減 △32,604千円 △26,083千円
遺産総額 123,973千円 118,216千円
基礎控除 △42,000千円 △42,000千円
課税価格 81,973千円 76,216千円
相続税額 12,394千円 11,243千円

 

当事務所にご依頼いただいたことで、115万円の節税!

 

今回の対応のポイント

登記簿の数字をそのまま鵜呑みにせず、現場の実態に踏み込むことが大きな節税に繋がりました。今回は測量代の出費が必要となりましたが、それ以上の大きなリターン(節税効果)を生むことができ、お客様にも大変お喜びいただけました。

土地の評価には、画一的な計算だけでは見落としてしまう減額要素が数多く存在します。私たちは税務のプロとして、お客様の大切な財産を守るための最善の選択肢をご提案いたします。

 

名古屋市中区 笘原拓人税理士事務所 相続税専門チーム

 

【はじめての方へ】相続手続きは何から始める?やることリストと流れをやさしく解説

 

はじめに

身近な方が亡くなられると、悲しみに暮れる間もなく、さまざまな「相続手続き」が必要になります。

「何から手をつければいいのか、まったくわからない」
「役所?銀行?法務局って何?どこに、何を、いつまでに出すの?」
「仕事をしながらこなせるんだろうか…銀行も法務局も平日しかやっていないし…」

 

はじめて相続に直面された方が、こうした不安を抱えるのは当然のことです。
相続手続きには期限が決まっているものと、期限はないけれど早めにやっておきたいものがあり、知らずにいると思わぬトラブルにつながることもあります。
まずは全体像を眺めて、「なるほど、こういう順番で進めればいいのか」というイメージをつかんでいただければと思います。

 

相続って、そもそも何をすること?

「相続」と聞くと、「財産を受け取ること」というイメージが強いかもしれません。でも実は、それだけではないのです。
相続とは、亡くなった方(=被相続人/ひそうぞくにん)の財産や権利、そして借金などの義務まで、まるごと引き継ぐことを指します。
引き継ぐものは、大きく2つに分けられます。

そして、引継ぐには当然手続きが必要です。

 

プラスの財産(もらえるもの)

● 現金・預貯金
● 土地や建物などの不動産
● 株式
● 生命保険
● 自動車など

 

マイナスの財産(引き継ぐと損するもの)

● 借金、住宅ローンの残高
● 未払いの税金や公共料金
● 連帯保証人としての義務

 

ここで大切なのは、プラスとマイナスは基本的にセットで引き継がれるということ。「良いところだけもらって借金はいらない」という選り好みはできません。
もし調べてみて「借金のほうが多そう」という場合には、後ほどご説明する「相続放棄」という方法を検討することになります。

 

亡くなった直後にやること(〜7日)

まずは、相続の「入口」にあたる手続きからです。悲しみのさなかで大変な時期ですが、ここは期限が短いものが続きますので、ご親族と協力して進めてください。

 

① 死亡診断書を受け取る

病院で亡くなられた場合は、医師から「死亡診断書」を発行してもらいます。自宅で亡くなられた場合などは「死体検案書」という書類になります。
この書類はこの後の手続きで何度も使うため、コピーを5〜10枚取っておくことをおすすめします。原本は1枚しかもらえず、再発行には手間とお金がかかるためです。

 

② 死亡届の提出(7日以内)

死亡診断書と一緒になっている「死亡届」に必要事項を記入し、市区町村役場へ提出します。期限は、亡くなったことを知った日から7日以内です。
多くの場合、葬儀社がこの手続きを代行してくれるので、ご自身で役場に出向くケースは少ないかもしれません。ただし、「代わりに出してもらえる」というだけで、責任は遺族側にあることは覚えておきましょう。

 

③ 火葬許可証の受け取り

死亡届を提出すると、その場で「火葬許可証」が発行されます。これがないと火葬ができません。こちらも通常は葬儀社が対応してくれます。

 

相続手続きの全体の流れ【7つのステップ】

葬儀が一段落したら、いよいよ本格的な相続手続きがスタートします。全体の流れをまず頭に入れてしまいましょう。

 

  やること 期限の目安
STEP 1 遺言書があるか確認する なるべく早く
STEP 2 相続人が誰かを確定する 〜2か月目安
STEP 3 財産と借金を調べる 〜3か月
STEP 4 相続するかしないか(相続放棄)決める 3か月以内
STEP 5 遺産の分け方を話し合う 〜10か月目安
STEP 6 相続税の申告・納税(必要な人のみ) 10か月以内
STEP 7 不動産の名義変更(相続登記) 3年以内

橙色表記になっているものは、法律で決まっている期限です。
一般的には相続人の確定まではすぐにできると思います。

それでは、1つずつ見ていきましょう。

 

STEP 1:遺言書があるか確認する

最初にチェックするのは、「亡くなった方が遺言書を残していないか」です。遺言書があれば、基本的にはその内容どおりに遺産を分けることになるため、以降の流れが大きく変わります。

遺言書には、よく使われる3つの種類があります。

● 自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
本人が自分で手書きしたもの。自宅の金庫や仏壇の引き出し、貸金庫などで見つかることが多いです。2020年から法務局での保管制度もはじまりました。
● 公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)
公証役場という役所で、公証人が作ってくれる遺言書。謄本が自宅に保管されているケースが多いです。原本は公証役場に保管されています。最寄りの公証役場で検索してもらえます。
● 秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)
内容は秘密にしたまま、存在だけ公証役場に証明してもらう遺言書。使われることはまれです。

 

※自筆証書遺言を見つけても、勝手に開封してはいけません。
家庭裁判所で「検認(けんにん)」という手続き(内容を公式に確認する作業)を受ける必要があります。ただし、法務局に保管されていた自筆証書遺言と、公正証書遺言は、検認は不要です。

 

STEP 2:相続人が誰か?を確定する

次にやるのは、「誰が相続人なのか」をきちんと確定させる作業です。
「そんなの、家族のことだからわかってるよ」と思うかもしれません。でも相続の手続きでは、「戸籍謄本」という公的な書類で証明することが求められます。
しかも、必要なのは「亡くなった方の出生から死亡まで、途切れなくつながる戸籍」。お亡くなりになったときの先後の本籍地の役所で入手することができます。

 

戸籍を集め終えたら、法務局で「法定相続情報一覧図(ほうていそうぞくじょうほういちらんず)」を作っておくと後がラクです。
これは「亡くなった方の相続人はこの人たちですよ」ということを家系図のようにまとめた書類で、法務局が無料で発行してくれます。司法書士に作成の代行を依頼することもできます。
銀行や法務局での手続きのたびに分厚い戸籍の束を持ち歩かなくて済むので、ぜひ活用してください。

【出典】法務局 主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

 

STEP 3:財産と借金を調べる

相続人が決まったら、次は「亡くなった方がどんな財産や借金を持っていたか」を調べていきます。これを「財産調査」と呼びます。

 

【調べ方の手がかり】
・郵便物(銀行・証券会社・税務署・ローン会社からの通知)
・通帳、キャッシュカード、クレジットカード
・権利証、登記識別情報通知(不動産の書類)
・固定資産税の納税通知書(毎年4〜5月頃に届くもの)
・保険証券
・スマートフォンのアプリ(ネット銀行、証券、暗号資産など)
・自動車


【どこに問い合わせる?】
本人(被相続人)ではないので、各機関とも他人には個人情報を開示できません。相続人であることを伝える必要がありますので戸籍謄本の束や前述の法定相続情報一覧図を持参する必要があります。運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類も必要です。

・預貯金

各銀行に「残高証明書」を依頼します。
「残高証明書」は、金融機関の口座にどれほどの預貯金や株式が入っているのかを公的に証明してくれる書類です。銀行の窓口で依頼できます。通帳を持っていくと便利です。相続開始の日(お亡くなりになった日)で作成を依頼します。
農協や信用金庫ですと出資金の有無も確認する必要があります。
残高証明書を依頼する前に通帳はATMで記帳しておきましょう。なお、残高証明書の発行を依頼しますと、通帳の名義人がお亡くなりになったことが分かるのでその通帳はロックされます。

・不動産

市区町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」を取得すると、その市区町村にある被相続人の不動産が一覧で出てくる公的な書類です。相続開始の日の年度で依頼します。

・株式・投資信託

証券会社に残高証明書を依頼します。
残高証明書には口座保有者名、基準日(指定日)、保有銘柄、株式数、投資信託の数量、預り金残高、および相続手続き等のために必要な場合は時価評価額が記載されます。相続開始の日(お亡くなりになった日)で作成を依頼します。

・生命保険

保険証券を手元において保険会社に電話をするのが一番確実です。

・自動車

陸運局が管轄していますが、被相続人の車の販売店や相続人のなじみのディーラーなどの車屋さんに確認するのが一番スムーズです。

 

財産の一覧と金額がわかったら、一覧表にまとめておきましょう。後の話し合いや申告手続きで必ず使います。

 

STEP 4:相続するかしないか決める(3か月以内)

財産調査の結果、「借金のほうが多そうだ」とわかったら、どうしますか?
ここでは詳しい解説は抄訳しますが相続放棄を検討する必要があります。
※相続放棄と限定承認の期限は、相続開始を知った日から3か月以内です。

 

この3か月間は思っているよりあっという間に過ぎます。借金があるかどうか判断に迷う場合は、早めに弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。

 

STEP 5:遺産の分け方を話し合う(遺産分割協議)

遺言書がない場合は、相続人全員で「誰が、何を、どれだけ引き継ぐか」を話し合います。これを「遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)」といいます。法定相続分はここでは「目安」です。全員が合意すれば自由に決められます。
話し合いがまとまったら、その内容を書面にした「遺産分割協議書」を作成します。
相続人全員が実印で押印し、印鑑登録証明書を添付します。ここで遺産分割が確定します。あとは手続きだけです。
この書類は、このあとの銀行での手続きや不動産の名義変更で必須の書類となる、とても大事なものです。

 

STEP 6:相続税の申告・納税(必要な人のみ・10か月以内)

相続税は、誰もが払うわけではありません。亡くなった方の遺産が一定額(基礎控除額)を超えた場合にだけ、申告と納税が必要になります。
もし必要な場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に税務署で手続きをすることになります。詳しくは本コラムでは扱いませんが、「うちは相続税が必要そう」と感じた場合は、早めに相続税を専門にしている税理士へご相談ください。
書類集めや財産の評価には思った以上に時間がかかるため、期限ギリギリに相談されると対応が難しいケースもあります。

 

STEP 7:不動産の名義変更(相続登記)(3年以内)

亡くなった方の名義のままになっている土地や建物は、引き継いだ人の名義に変更する必要があります。これを「相続登記(そうぞくとうき)」といい、法務局で行います。司法書士に依頼することができます。

 

2024年4月から、相続登記は義務化されました。 不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。過去に起きた相続で放置されている土地・建物についても、2024年4月以降、3年以内の登記が求められます。


「しばらくそのままでいいや」という考え方は、もう通用しません。早めに済ませておきましょう。

 

相続手続きでよく使う書類リスト

相続のさまざまな場面で、共通して必要になる書類をまとめました。最初にまとめて取得しておくと、手続きのたびに役所に行く手間が省けます。

書類 主な用途 どこで取る?
死亡診断書(コピー) 各種手続き全般 病院
被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡) 相続人の確定、銀行・法務局の手続き 最後の本籍地の市区町村役場
被相続人の住民票の除票 最後の住所の証明 市区町村役場
相続人全員の戸籍謄本 相続人であることの証明 市区町村役場
相続人全員の住民票 住所の証明 市区町村役場
相続人全員の印鑑登録証明書 遺産分割協議書への押印、各種手続き 市区町村役場
遺産分割協議書 預貯金・不動産などの名義変更 自分で作成(司法書士が作成可能)
固定資産税の納税通知書 不動産の特定・評価 手元に届いたもの
名寄せ 不動産の特定・評価 市区町村役場
預貯金の残高証明書 預金額の確定 各金融機関
証券会社の残高証明書 株式等の確定 各証券会社
不動産の登記事項証明書 不動産登記 法務局

【書類集めのコツ】
印鑑登録証明書は3通ほどまとめて取得を。遺産分割協議書用、銀行用、不動産登記用と、複数の場面で必要になります。ただし発行日から3か月以内など有効期限があるので、使うタイミングを見ながら取得しましょう。
法定相続情報一覧図を作っておくと、戸籍の束の代わりになるので大幅に手間が減ります。

 

期限はないけれど、早めにやっておきたい手続き

仮に法律上の期限はなくても、放置しておくとトラブルや余計な出費につながる手続きがあります。こちらも忘れずに進めましょう。
なお、市町村によってはお悔やみ窓口を設けており、一通りの手続きを1ストップで説明、進めてくれる市町村もあります。

 

公共料金・各種サービスの解約または名義変更

電気・ガス・水道・インターネット・携帯電話・サブスクリプションサービス・新聞など。
使わないものは解約し、引き続き使うものは名義変更をします。放置すると料金が発生し続けてしまいます。

 

銀行口座・クレジットカードの解約

預貯金は遺産分割協議書が整った段階で、各金融機関で相続手続きを行い、相続人の口座へ払い戻します。
クレジットカードはカード会社に連絡して解約します。

 

自動車の名義変更

軽自動車は軽自動車検査協会、普通自動車は運輸支局で手続きします。
そのまま乗り続ける場合も、売却・廃車する場合も、いったん相続人へ名義変更が必要です。被相続人の車の販売店や相続人のなじみのディーラーなどの車屋さんに確認するのが一番スムーズです。

 

生命保険金の請求(3年以内)

保険会社に連絡して保険金を請求します。
保険金の請求権は3年で時効になってしまうため、早めに手続きをしましょう。必要書類は各保険会社によって異なります。保険証券を手元において保険会社に電話をするのが一番確実です。

 

年金の停止・未支給年金の受取

亡くなられた方が年金を受給していた場合、年金事務所で受給停止の届け出と、未支給分の請求手続きが必要です。

 

相続手続きを進めるうえでの3つのアドバイス

最後に、はじめて相続に臨む方へのアドバイスを3つお伝えします。

 

① とにかく「全体像」から

目の前の1つ1つの手続きだけを見ていると、迷子になります。
まずは「いつまでに何をするのか」のカレンダーをざっくり作ってしまいましょう。このコラムの最初の表を印刷するだけでも十分です。

 

② 書類は「多めに」取る

戸籍謄本や印鑑登録証明書は、手続きごとに提出先から原本を求められることがあります。
1通ずつだと足りなくなることが多いので、最初から複数通まとめて取得しておくとムダ足を省けます。

 

③ 迷ったらプロに相談を

相続手続きは、関わる役所も書類も多く、専門的な判断を必要とする場面が多々あります。

 

・相続人が多い、または行方不明の相続人がいる
・遺言書の内容でもめそう、またはすでにもめている
・借金がいくらあるかわからない
・不動産が複数ある
・相続税がかかりそう

 

このような場合は、弁護士・司法書士・税理士など、それぞれの専門家に早めに相談することをおすすめします。費用がかかるイメージがあるかもしれませんが、初回相談を無料で受けてくれる事務所も多く、早い段階で相談したほうが結果的にムダな時間と出費を減らせることがほとんどです。

 

【関連コラム】

↓相続税申告は何から始める?
相続税申告は何から始める?全体像・必要書類・手続きの流れを税理士がわかりやすく解説

 

まとめ

大切な方を亡くされた後の相続手続きは、「やることが多くて、何から手をつけていいかわからない」と感じるものです。でも、全体の流れをつかんでしまえば、1つずつ着実に進めていくことができます。

改めてポイントを整理しておきます。
● 相続はプラスもマイナスもまとめて引き継ぐ
● まずは 死亡届(7日以内) と葬儀関連の手続きから
● その後、遺言の有無の確認 → 相続人の確定 → 財産の調査 →遺言がなければ遺産分割協議書の署名押印
● 10か月以内(相続税)、3年以内(相続登記)という3つの大きな期限を意識する
● 書類は 最初にまとめて多めに取得するのがコツ
● 迷ったら早めに専門家へ相談を

 

当事務所では、相続に関するご相談を初回無料で承っております。「自分のケースで何をすればいいのかわからない」「専門家の意見だけでも聞いてみたい」という段階でも、遠慮なくお問い合わせください!

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