不動産オーナーのための相続対策
不動産オーナーのための相続対策

不動産相続の現実的課題
現在の税制環境において、不動産所有者は相続税の対象となる可能性が非常に高くなっています。平成27年の相続税法改正により基礎控除額が大幅に引き下げられたため、特に都市部では一般的な戸建て住宅を所有しているだけで相続税申告が必要になるケースが急増しています。
この背景には、不動産価格の高騰と控除額の縮小という二重の要因があり、これまで相続税とは無縁だった多くの家庭が、突然税務の専門知識を必要とする状況に直面しているのが現実です。
また、不動産オーナーは、以下のような悩みを多く抱えています。
こんなことでお悩みの方に
- 「財産の大部分が不動産で、相続税を現金で払えるか心配...」
- 自分の相続で家族にどれほどの税負担をかけるのか分からない...」
- 「子どもたちには仲良くしてほしいのに、不動産があることで揉めそうで不安...」
不動産オーナーとして考慮すべきこととして、相続後の不動産管理と次世代への配慮も重要です。事前の対策をしっかり行い、「成功する不動産相続対策」を実現しましょう。
不動産オーナーが直面する3つの深刻な問題
問題1. 相続税申告対象者の拡大と現実的影響
相続税改正の影響により、従来は富裕層のみが対象だった相続税が、中産階級の不動産オーナーにも大きく関わる問題となりました。
【改正前後の変化(出典:平成25年度税制改正)】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/aramashi/pdf/02.pdf
改正前後の基礎控除額の変化
| 区分 | 改正前(平成26年12月31日まで) | 改正後(平成27年1月1日以降) |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 基礎控除 5,000万円+1,000万円×法定相続人数 | 基礎控除 3,000万円+600万円×法定相続人数 |
この変更により、例えば配偶者と子供2人の場合、基礎控除額は 8,000万円から4,800万円へと40%も減少しました。その結果、相続税の課税割合は改正前の4.4%から改正後8.0%へと約2倍に増加しています。
都心部の戸建て住宅の評価額が4,000万円を超えることは珍しくないため、他に預貯金があるだけで申告対象となってしまうのです。
問題2. 流動性の欠如による納税資金不足の深刻化
不動産中心の資産構成を持つ方にとって最も深刻な問題は、納税資金の確保です。相続税は相続開始から10ヶ月以内の現金納付が原則であり、この期間内に必要な資金を準備しなければなりません。
納税資金不足が招く悪循環
- 相続税額の確定(相続開始から4ヶ月以内に概算把握が必要)
- 資金調達手段の検討(6ヶ月までに方針決定)
- 不動産売却の実行(通常3~6ヶ月要する)
- 納税期限の迫り(10ヶ月以内)
この流れの中で、時間的制約により不動産を市場価格より低い価格で急いで売却せざるを得ないケースが多発しています。さらに、相続した不動産の売却には、相続登記、境界確定、建物の状態確認など複数の手続きが必要で、想定以上に時間を要することが一般的です。
延納・物納制度の現実的課題
延納制度(分割払い)や物納制度(不動産での納税)も存在しますが、これらには厳格な要件があります:
- 【延納制度】:年利1.2~6.0%の利子税が発生
- 【物納制度】:税務署の厳格な審査、不動産の状態や立地条件の制約
延納制度の要件(出典:国税庁「No.4211 相続税の延納」)
物納制度の要件(出典:国税庁「No.4214 相続税の物納」)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/01.htm(平成7年6月現在)
業界の格言で「延納は地獄の始まり」といわれています。相続税は多額の納税額になることが多く、それを今後の生活のために稼いだキャッシュを納税資金に回していくのは大変なことです。
物納はあくまで今キャッシュで払えるべき相続税を納税しきった後に物納となります。何かあった時のためにとっておくべき手元の大切な資金を納税に回することは家計として大きなリスクとなります。そのため令和6年度の物納許可実績は31となっています。全国にある税務署の数が524ですので、実質的には運用されていない制度に等しいのです。
これらの制度を利用できない場合、結局は不動産売却による現金化が唯一の選択肢となることが多いのです。
問題3. 遺産分割の複雑化と相続争いの実態
不動産は現金と異なり物理的に分割できないため、相続人間での公平な分割が困難な財産です。複数不動産があれば分けやすい面はありますが、不動産は立地や形状、抵当権、借地権、借家権などの権利の様態が一つ一つ異なるため、同じ価値という不動産はありません。
「我が家には大した財産がないから大丈夫」と考えている家庭ほど、実際には争いが発生しやすいということです。家庭裁判所の司法統計資料によれば、調停や審判など裁判所で争いになった相続案件の件数・割合は遺産の額が5,000万円以下が 75%以上を占めます。むしろ不動産が自宅のみという一般的な家庭の方が不幸な相続をされているという実情があります。
不動産分割の主な方法と課題
| 分割方法 | 説明 | 課題 |
|---|---|---|
| 現物分割 | 土地の場合、分筆により物理的分割が可能 | 利用価値が低下する場合が多い |
| 換価分割 | 売却して現金化後分割 | 売却時期や価格決定で争いが生じやすい |
| 代償分割 | 一人が不動産を取得し、他の相続人に現金を支払う | 資金調達が困難 |
| 共有 | 法的には可能 | 将来の管理・処分で問題が継続。課題を繰延て将来の地雷を埋めているだけのケースが多い |
不動産オーナーのための効果的な相続対策
相続対策は「財産評価対策」「納税資金対策」「遺産分割対策」の3つの柱で構成されます。これらを統合的に検討することで、総合的な効果を最大化できます。
1. 財産移転対策:円満相続の基盤づくり
相続対策の出発点は、「誰に」「何を」「いつ」移転するかを明確にすることです。この財産移転対策により、相続人間の争いを未然に防ぎ、円満な相続を実現できます。
具体的な検討要素
- 各相続人の年齢、職業、資産状況の把握
- 不動産管理能力と投資意欲の評価
- 居住地域と相続財産所在地の関係
- 二次相続(配偶者の相続)における税負担予測
- 大規模修繕工事の予定や建て替えの予定の把握
- 今後の減価償却費の計上と所得税の納税額の検討
- 法人化による不動産管理会社の設立や生前に相続人へ贈与できる収益物件の検討
令和6年の税制改正により相続時精算課税がとても使いやすくなりました。
2. 納税資金対策:確実な資金確保の仕組みづくり
相続税は原則として現金一括納付のため、不動産中心の資産構成では納税資金の確保が最重要課題となります。相続発生の10ヶ月前から準備できる対策ではないため、計画的な資金準備が不可欠です。
段階別資金確保戦略
短期対策(1~3年)
- 生命保険による確実な資金確保(一時払終身保険の活用)
- 流動性の高い金融商品への一部資産シフト
- 不動産担保融資の事前準備と金融機関との関係構築
中期対策(3~10年)
- 収益性の低い不動産の計画的売却や再活用
- 賃貸事業による安定収入の確保と拡大
- 法人化による所得分散と内部留保の蓄積
- 新たな収益物件の建築の検討
長期対策(10年以上)
- 次世代への段階的な事業承継
- 定期的な税理士事務所との打ち合わせや常に気軽に相談できる体制の確立
3. 財産評価対策:合法的評価減による税額圧縮
不動産は評価方法により大きく評価額が変動する財産です。適正な評価を行うことで、過度な相続税負担を回避できます。
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専門家選びの重要性と7つの必須条件
不動産相続の複雑さを考慮すると、適切な専門家選びが成功の鍵となります。単に税理士資格を持っているだけでは不十分で、不動産と相続税の両分野に精通した専門性が必要です。
条件1. 相続税と不動産評価の両方に精通した実績
相続税の計算における不動産評価は、税理士の技術力によって大きな差が生まれる分野です。同じ不動産でも評価方法により数百万円から数千万円の差額が生じることがあります。
条件2. 不動産鑑定士との連携体制の充実
税理士による評価と不動産鑑定士による鑑定評価の連携は、適正な土地評価のために不可欠です。特に以下のケースでは鑑定評価が威力を発揮します:
- 名古屋市以外の三河地方や尾張地方などの郊外に多い市街化調整区域の宅地(市街化調整区域の宅地は相続税評価では高すぎるケースが多い)
- 路線価が設定されていない土地
- 特殊な立地条件(急傾斜地、不整形地等)
- 賃貸用不動産(収益価格との比較検討)
条件3. 複数の遺産分割シミュレーションの提供能力
相続税額と各相続人の取得財産額は、分割方法により大きく変動します。経験豊富な事務所では、以下の観点から複数の分割案を提示します:
- 相続税総額の最小化
- 各相続人の税負担の平準化
- 将来の二次相続対策の考慮
- 各相続人の資金需要と投資性向
- 不動産の管理・運営能力
条件4. 税務調査対応力の実証
資産総額が高額な相続の場合、税務調査の実施率は約17%とされています。調査では特に現預金がテーマになりますが、不動産評価の適正性も厳しくチェックされるため、以下の対応力が必要です:
- 評価根拠の明確な書面化
- 現地調査記録の詳細な保管
- 適用した減額要因の法的根拠の整理
- 鑑定評価書等の客観的証拠の準備
条件5. 既存顧問税理士との効果的連携
相続専門事務所との連携により、不動産取得・処分のタイミング最適化や法人化による節税効果の検討などのメリットが実現できます。法人税や所得税の顧問もしている事務所であれば、伴奏しながら継続的にサポートすることができます。
条件6. 相続後の不動産管理・活用サポート
相続した不動産は、その後の管理・活用方針によって家族の将来が大きく左右されます。以下のようなサポートが重要です:
- 保険の見直し(火災保険、施設賠償責任保険等)
- 土地有効活用(アパート建築等)の検討支援
- 売却時の譲渡所得税対策
条件7. 透明性のある報酬体系と充実したサービス内容
相続税申告の報酬は、遺産総額や業務内容により大きく変動します。重要なのは単純な金額比較ではなく、相談回数・時間の制限有無や、追加業務(鑑定評価、税務調査対応等)の料金体系など、総合的に判断しましょう。
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