共有で遺産分割した土地・建物を解消したい|10年前の相続を今から整理する方法
投稿日:2026.03.02
目次
10年前の相続を今から整理する方法
10年前に相続の話し合いがまとまらなかったため、土地・建物を共有で相続…このまま土地・建物を共有し続けることでどのようなことが懸念されるのか、解消するにはどのような方法があるのか、また、進め方についてもご紹介していきます。
共有の財産を明確にし整理していく…当所からの対策のご提案や、このようなケースで重要な視点などを詳しく解説していきます。
相談内容
両親が亡くなったのは10年前です。話し合いがうまくまとまらず、土地・建物を3人の共有で相続しました。
このまま共有を続けるのは良くないと思っていますが、どうやって解消すればいいのでしょうか?
対象となる財産
- 土地・建物(実家)
- 貸駐車場
- 空き家
「共有」は時間が経つほど解消しづらくなる
共有状態の不動産は、
- 売るにも全員の同意が必要
- 活用も中途半端
- 次の世代に引き継ぐとさらに複雑
という問題を抱えています。
「いつか話し合おう」と思っているうちに、10年、20年と放置されるケースは珍しくありません。
実際にご提案した進め方
① 土地・建物の評価を実施
まず今回のケースでは、
- それぞれの不動産の評価額
- 各共有者の持分価値
を明確にしました。 感覚論ではなく、数字を出すことが話し合いの第一歩です。
② 各共有者の希望をヒアリング
次に行ったのが、
- 住み続けたい
- 売却したい
- 現金化したい
など、それぞれの本音の整理です。
意外と、「思っていたより希望が違う」ということは多いものです。
③ 交換の特例を使った等価交換
可能なものについては、交換の特例を利用し、税負担が生じない形での等価交換を検討しました。
- 不動産同士を入れ替える
- 持分を整理する
ことで、共有を解消する道筋を作ります。
④ 贈与と売買を組み合わせた解消
等価交換が難しい部分については、
- 一部を贈与
- 一部を売買
という形で調整し、現実的な解消方法を検討しました。
⑤ 分筆による解消(今回は未実施)
共有解消の方法としては、「分筆(共有物分割)」という選択肢もあります。
今回は条件が合わず実施しませんでしたが、ケースによっては有効な方法です。
この相談内容で重要な視点
① 時間的緊急性の認識 -「今」が最後のチャンスかもしれない
共有状態は、時間が経過すればするほど解消が困難になっていきます。
現時点では当事者3人で直接話し合いができる状況ですが、このまま放置すると、共有者の誰かに相続が発生し、その配偶者や子どもたちが新たな共有者として加わることになります。そうなれば、関係者は5人、10人と増え続け、face to faceでの話し合いすら難しくなるでしょう。
さらに、世代を超えるごとに「実家への思い入れ」や「当時の経緯」も薄れ、利害関係だけが先鋭化していきます。
10年前の相続を「今から整理する」というのは、決して遅すぎるわけではありません。むしろ、当事者が健在で、意思疎通が可能な今こそが、共有解消の最後のチャンスという認識を持つことが極めて重要です。
② 客観的な数字に基づく話し合いの土台作り - 感情ではなく、事実で語る
「あの土地は自分が管理してきた」「実家には私が一番愛着がある」といった感情論や、「たぶんこれくらいの価値だろう」という曖昧な認識のままでは、話し合いは平行線をたどるばかりです。
だからこそ、まず必要なのは不動産の評価額と各持分の価値を数値で明確にすることです。
数字という共通言語を持つことで、
- 誰がどれだけの価値を持っているのか
- どの選択肢が誰にとって有利・不利なのか
- 公平な解消方法は何か
が、客観的に判断できるようになります。
「数字を出すことが話し合いの第一歩」という指摘は、単なる手続き論ではなく、感情的な対立を避け、合理的かつ公平な合意形成を可能にするための最も基本的で重要な視点なのです。
共有している相続についてお悩みの方へ(税理士・笘原拓人より)
共有不動産は、「誰かが困るまで放置されがち」です。
しかし、
- 元気なうち
- 話し合いができるうち
に整理すれば、選択肢は必ずあります。
「今さら…」と思わず、一度、現状を整理するところから始めてみてください。
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